パウエル会見を受けドル高が加速 ドル円は149円台半ばに=NY為替概況 きょうのNY為替市場、午後のFOMC後のパウエル議長の会見を受けてドル高が加速した。ドル円は149円台を回復し、149.50円付近まで一時上昇。議長の会見を受けて早期利下げ期待がさらに後退している。 議長は「現在見られているのは、関税によるインフレの非常に初期の段階。経済は当面、緩やかな金融引き締めを必要としている」などと述べ、追加利下げに慎重な姿勢を滲ませていた。 トランプ大統領は「FRBは9月に利下げすると聞いている」とFOMC直前に述べていたが、議長は「次回会合までにデータが明確になるかどうかは非常に難しい」と9月利下げに消極的な見解を暗示していた。 短期金融市場では年内2回の利下げを織り込めず、9月利下げは半分以下の確率、10月利下げも完全には織り込めない状況となっている。利下げに慎重姿勢を示して来るとは見られていたものの、想定以上にタカ派だったとの印象のようだ。 なお、朝方に米GDPやADP雇用統計が発表になっていたが、予想を上回ったこともドル高に拍車をかけていた。特に米GDPは3.0%のプラス成長となった。ただ、個人消費の伸びが予想を若干下回ったほか、輸入の大幅な減少で純輸出の伸びが大きく寄与した点を除けば緩やかな成長に留まっているとの指摘もエコノミストからは出ている。だが、利下げに慎重なFRBの姿勢は正当化される内容と受け止められていたようだ。 ユーロドルは1.15ドルを割り込み、1.14ドル台前半まで急速に下落。テクニカル的には21日線から下放れる展開を強めたほか、ダブルトップを形成しており、短期的には1.20ドルよりも1.12ドルの方向に流れが傾いた印象となった。 一方、本日は第2四半期のユーロ圏GDP速報値が発表になっていたが、予想以上の成長を示したことを受けて、アナリストからは「ECBが再び利下げを行う可能性は低い」との指摘が出ている。成長率は前四半期からは減速したものの、それでも個人消費の回復を示していた点を要因に挙げている。 また、成長率の高まりは物価押し上げの傾向にあると述べた上で、「ECBは政策金利を現行水準に据え置かざるを得ないと考えられる」とも述べている。現在、短期金融市場では年内の利下げの確率を半々程度で織り込んでいる状況。 ポンドドルは1.32ドル台半ばまで下げ幅を拡大。きょうの下げで100日線を下抜けており、明日以降の動きが警戒される。目先は5月上旬にサポートされた1.3140ドル付近が下値メドとして意識。 市場は英中銀の8月利下げの期待を高めており、短期金融市場では90%超の確率で織り込む動きが出ている。そのような中、エコノミストからは8月の金融政策委員会(MPC)で、英中銀はインフレと成長見通しを上方修正する可能性があるとの見方が出ている。 6月の英インフレ率が予想を上回ったことを受けて、英中銀は2025年のインフレ予測を従来の3.3%から3.5%程度への小幅引き上げが見込まれるという。また、第1四半期の英GDPが予想を上回ったことから、成長見通しも若干上方修正される見通しだとも述べた。「英中銀が5月時点で想定していた条件と比較して、エネルギー価格およびポンドの実効為替レートは引き上げが予想される一方、政策金利の前提は概ね据え置かれると見られる」とも指摘している。 MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
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