米雇用統計を受けドル円は完全に下向きに途転 一時147円台前半まで急降下=NY為替概況 きょうのNY為替市場、この日発表の7月の米雇用統計を受けて、ドル円は完全に下向きに途転(どてん)した。非農業部門雇用者数(NFP)が予想を下回ったが、特に前回分が当初の14.7万人増から1.4万人増に下方修正されたことは驚きとなった。大幅過ぎる下方修正で、これは市場の金利見通しに疑問を投げ掛けるだけでなく、底堅い米経済という重要な前提を揺るがとの指摘も出ていた。 これを受けて今週のFOMCで後退していた早期利下げ期待が復活。短期金融市場では10月利下げを再び完全に織り込み、年内2回の利下げ期待も完全に復活している。米国債利回りも急低下する中、150円台後半まで上昇していたドル円は、一気に147円台前半まで急降下する展開。米株式市場も大幅安となる中、リスク回避の円高の動きも見られ、ユーロ円、ポンド円といったクロス円も下落。 もちろん、トランプ大統領からのパウエル議長への批判も早速出ていたほか、大統領はマクエンターファー労働統計局長を解任した。さらに、FRBはクーグラーFRB理事が8月8日付で辞任すると発表。任期は来年1月までだった。今回の辞任は、トランプ大統領およびその側近らが、FRBに対して年内の利下げを強く求めている中での決断となった。FRBはこれまで一貫して利下げに慎重姿勢を維持しており、そのプレッシャーが背景にあるとの見方も出ている。 ユーロドルは1.15ドル台後半まで買い戻された。本日1.1365ドル付近に来ている100日線でサポートされた格好となっているが、1.16ドル台にある21日線まで戻せるか来週の注目となりそうだ。 先週のECB理事会や、本日の予想を上回る7月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値の発表を受けて市場では、年内ECBは政策を据え置くとの見方が広まりつつある。しかし、エコノミストは、ECBは12月に次に利下げを行う可能性が高いとの見解を示している。ユーロ圏の年後半の景気減速とインフレ鈍化が現在の経済活動の底堅さを経て表れてくるという。一方、インフレが持続的に目標を下回るリスクもあることから、ECBは年末にかけて政策の柔軟性を維持する必要があるとも指摘していた。 ポンドドルも1.33ドル台まで買い戻される場面が見られた。ただ、上値は依然として重く、その後は1.32ドル台に伸び悩む展開。 来週は英中銀の金融政策委員会(MPC)が予定されており、利下げが確実視されている。ただ、エコノミストからは、利下げのみならず量的引締め(QT)の減速も示唆する可能性があるという。英中銀は来週のMPCで、10月以降のQTのペースを減速させる可能性があるという。QTは量的緩和(QE)期間中に購入した債券を縮小していくプロセス。 具体的には10月からの向こう12カ月間におけるQTの目標額を現在の1000億ポンドから750億-800億ポンドへと縮小すると予想している。 MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
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