4日からの週は、米国の早期利下げ観測と、週末の英中銀の決定がドル売りやポンド買い圧力につながった。ドル円は、一連のFRB高官のハト派的な発言が相次ぎ、9月利下げ観測が高まったことで、ドル売り・円買いが優勢となった。週末にかけて146円台まで下落したが、日米の金利差は依然としてドルの下支え要因として機能し下げも限定された。ユーロドルは、ドル安の流れに乗って緩やかに上昇し、1.15ドル台から1.16ドル台後半へと水準を上げた。ユーロ圏の景気懸念材料も出たが、市場のドル売り圧力がユーロを押し上げた。ポンドは、週を通して軟調に推移していたが、7日の英金融政策委員会(MPC)で利下げ決定の投票結果が5対4と予想外の僅差だったことから、今後の追加利下げは難しいとの見方が強まり、ポンドが急騰した。先週末の米雇用統計の弱さがドル急落を招いた経緯があり、この週はその動きを市場が消化する週となっていた。 (4日) 東京市場で、ドル円は下げ渋り。東京朝方には前週末の弱い米雇用統計を受けたドル安傾向を引き継ぎいで一時147.06付近まで一段と安値を広げた。その後は一時147.91付近まで戻す場面があったが、148円台を回復する勢いはみられず、午後は147円台後半で小幅な値動きにとどまった。クロス円も午後は落ち着いた動き。ユーロ円は171円ちょうど付近、ポンド円は196円台前半で小動きとなった。ユーロドルは午前に前週末のドル安の反動から一時1.1551付近まで下落したが、午後は下げが一服した。 ロンドン市場では、円高やドル安が一服。先週末の米雇用統計が予想を下回ったことで一時円高・ドル安が進行したものの、週明けにはその動きが一服。米株安や米債利回り急低下を受けたリスク警戒は緩和され、欧州株や米株先物が反発、押し目買いも見られる展開となった。ドル円は東京時間に147円付近まで下落後、ロンドンでは一時148円台まで回復。ユーロ円は171円台に乗せ、ユーロドルは1.1550付近で下押しと、全体的に値動きは落ち着いてきている。今後はNY勢の動向に注目が集まる。また、米雇用統計を受けた経済先行きへの不安と9月の米利下げ期待が市場で交錯している。 NY市場で、ドル円は下値模索が続き、一時146.85付近まで下落した。先週の米雇用統計後、FRBの9月利下げ期待が高まり短期市場では年内2回、さらには3回の利下げ観測も強まっている。米国債利回り低下が進み、ドル円も再び弱含み。目先は147.70近辺の21日線回復か、145.70付近の100日線テストが焦点。また、ユーロドルは1.16手前で膠着している。ユーロ圏投資家信頼感指数は予想外のマイナスで景気停滞に再び懸念。一方、ポンドドルは英中銀の利下げ観測から対ドル・対ユーロで下落が続くが、売られ過ぎでの反発余地も指摘されている。 (5日) 東京市場で、ドル円は下に往って来い。朝方は一時146.62近辺まで下落。先週末の弱い米雇用統計後のドル売りとともに、サンフランシスコ連銀総裁の利下げ言及もドル売り・円買いを後押しした。しかし、米債利回りの反発や円債利回りの鈍化で安値から反発。147.20台まで戻すと、昼過ぎには147.26近辺まで上昇。その後利益確定の売りがあったが押し目は浅く、ドル高・円安基調が続いた。ユーロドルは1.1596レベルの月曜高値付近では売り圧力に抑えられた。ユーロ円は170円付近で推移するなか、午後には安値を169.82近辺まで広げた。 ロンドン市場は、ドル高・円安の動き。背景には、先週末の米雇用統計が弱かったため、9月の米利下げ観測が高まり、年内2回以上の利下げが市場に織り込まれていることがある。欧州株はアジア株の流れを受けて続伸し、米株先物・時間外取引もプラス圏で推移。米10年債利回りは4.21%台に上昇した。円安の要因としては、日本のGDP成長率見通しの下方修正報道や、円債利回りの低下も挙げられる。為替では、ドル円が147円台後半、ユーロ円が170円台半ば、ポンド円が196円台前半へと上昇。ユーロドルは軟化し、ドル指数は下げ渋った。ポンドドルは方向感を欠く展開。サービス業PMI確報値が英国で上方修正された一方、ユーロ圏では下方修正されたことも影響した。また、週後半の英中銀会合を控え、ポジション調整の動きもみられる。 NY市場では、ISM非製造業景気指数の予想下振れを受け、ドル安の反応が見られた・ドル円は一時147.30付近まで下落。しかし、先週の米雇用統計を受けた急落は一服し、現在は21日移動平均線付近で次の動向を探る展開となっている。短期金融市場では、9月の米利下げ確率が90%近くまで上昇しており、年内2回、場合によっては3回の利下げも織り込まれている。ユーロドルは1.15ドル台後半まで買い戻されたが、1.16ドル台では強い上値抵抗が見られる。アナリストからは、ユーロ圏の財政刺激策が今後経済に浸透し、ユーロ安が長期化しないとの見方も出ている。一方、ポンドドルは1.33ドル付近で上下動。英中銀は低成長とインフレ高止まりのスタグフレーションに直面しており、ポンドに下落圧力がかかる可能性があるとの指摘もある。英中銀は、景気下支えの圧力から必要以上に利下げを行うかもしれないという。 (6日) 東京市場で、ドル円は振幅。ドル円は、朝方に147.75付近まで上昇後、一転してドル売り・円買いに転じた。自民党の河野議員が、円高対策としての利上げの必要性を指摘した発言がきっかけとなった。この発言を受け、ドル円は一時147.31付近まで下落したが、その後は147.50付近まで買い戻されるなど、明確な方向性は見られず。米国では追加利下げへの期待がドルの重荷となっている。一方、ユーロドルは1.15台後半、ユーロ円は170円台後半で狭いレンジでの揉み合いが続いた。ポンドドルは1.3300付近を挟んで推移。翌日に予定されている英中銀金融政策会合では利下げが見込まれており、金融政策報告の内容次第ではポンド売りにつながる可能性もある。事前の動きは限定的だった。 ロンドン市場は、方向感に欠ける中、ややドル売りが優勢となった。ドル円は東京時間の下げから買い戻され、ロンドン序盤には147.90付近まで上昇したが、その後はドル売りに押され147.50台へと押し戻されている。ドルストレートではユーロドルが1.16台に乗せ、ポンドドルは1.33台前半まで買われた。クロス円は堅調で、ユーロ円は171円台半ば、ポンド円は196円台後半へと上昇した。欧州株は英仏株が堅調で、米株先物も反発。ユーロ対ポンドではポンドが売られる展開となった。これは、翌日の英金融政策発表を控えた調整の動きに加え、建設業PMIがドイツで改善した一方、英国では悪化したことが影響していると見られる。 NY市場では、ドル売りが優勢。ドル円は一時146円台まで下落した。背景には、年内2回の利下げが妥当とするカシュカリ・ミネアポリス連銀総裁や、米雇用統計の修正が経済の転換点の兆しとの見方を示したクックFRB理事の発言があり、ドル売りの動きを加速させた。市場では9月の米利下げ確率が90%近くに上昇し、年内2回、場合によっては3回の利下げも織り込まれている。ユーロドルは買い戻しが膨らみ、1.16ドルの水準を突破。この日発表のユーロ圏の小売売上高は回復したが、エコノミストは低調な消費動向が続くと見ている。ポンドドルも1.3370付近まで上昇したが、対ユーロでは下落し、G10通貨の中で下位に沈んだ。明日の英中銀金融政策委員会では5回目の利下げが見込まれているが、ストラテジストは投資家が今後の利下げを過小評価している可能性を指摘している。 (7日) 東京市場では、ドル円の上値が重い展開。昼過ぎには日経平均の上昇を受け、リスク選好の円売りから147.71付近まで上昇する場面があった。しかし、上昇は続かず、午後は一転して下落。一時146.85付近まで値を下げた。この背景には、米国の早期利下げ観測や、本日夜に発表される米新規失業保険申請件数を控えたポジション調整の動きが影響したものと見られる。他の通貨ペアでは、ユーロドルが午後のドル安傾向により一時1.1679付近まで強含みで推移。ユーロ円は午前中に172.17付近まで上昇したものの、その後は171台半ばまで押し戻された。ポンド円は、本日夜の英中銀政策金利発表を前に、196円台後半から197円台前半で揉み合った。 ロンドン市場は、ポンドが急伸。英中銀は予想通り政策金利25bp引き下げ4.00%とした。注目の票割れは5対4の僅差、意外な票割れを受けてポンド相場が急伸している。ポンドドルは1.34台乗せ、ポンド円は198円手前まで買われている。なお、インフレ見通しは1年後から3年後の各期間で引き上げられ、GDP見通しは今年を引き上げも来年と再来年は据え置かれた。その他主要通貨は方向感に欠けた。総じてドル売りが先行したが、その後は続かず値を戻した。ドル売りの背景としては、先週末の弱い米雇用統計の影響が残るなかで、昨日NY時間の米金融当局者発言が早期利下げを示唆するものと捉えられたことが一段の売り圧力となっていた。しかし、ロシア政府から米露首脳会談の開催で基本合意、詳細について準備を開始と報じられるとドル売りは一服。ドル円は146円台後半に下押しされたあと、147円台前半に下げ渋り。ユーロドルは1.17手前まで買われたあと、1.16台半ばへと反落。 NY市場では、FRB人事報道を受けてドル安の動きがみられた。トランプ大統領がミランCEA委員長をFRB暫定理事に指名したことがきっかけで、為替市場はドル安で反応した。ミラン氏が利下げに前向きな姿勢と見られているため、市場では年内の利下げ期待が強まり、9月利下げ確率は90%付近まで上昇。ミラン氏の指名により、年3回の利下げ確率も43%程度に上昇した。しかし、日米金利差の大きさから、ドル円の下落は限定的との指摘も出ている。一方、ユーロドルは終盤に1.1660ドル近辺まで上昇。ドイツ鉱工業生産が予想を下回り、ドイツ経済への懸念が強まったものの、ドル安の流れがユーロを支えた。また、ポンドが対ユーロ、円で上昇。英中銀が利下げを実施したものの、決定が5対4と接戦だったため、年内の追加利下げは難しいとの見方が台頭し、ポンド買いにつながった。 (8日) 東京市場では、ドル売り先行もドル買いに転じている。朝方にはクーグラー理事の後任人事案を受けたドル売りが優勢となり、ドル円は一時146.72付近まで下落した。しかし、その後は日銀の「主な意見」で米国の関税政策の影響見極めに時間を要するとの見解が示されたことか早期利上げ観測が後退、円売りが強まり、147.30台まで反発した。その後は、日本の祝日(山の日)を控えていることもあり、積極的な取引は手控えられ、147円台前半での揉み合いが続いた。ユーロドルは1.1650を挟んだ推移で、上値の重さが目立った。ポンドは、英金融政策会合での利下げがぎりぎりの決定であったことから今後の利下げ見通しが後退し、対ドル、対円ともに比較的堅調に推移した。しかし週末を前にして慎重な動きも見られた。 ロンドン市場は、ドル買いが優勢になっている。きょうは週末を控え、来週12日には米CPIが発表されることから、今週のドル安傾向に対してやや調整の動きが入っているようだ。ドル円は147円台後半へと上昇。ユーロドルは1.16台前半へと軟化している。ユーロ円192円付近、ポンド円198円台後半などへと上昇しており、円安の面もみられている。東京朝方の日銀主な意見で利上げを急がない姿勢が示されたことや、自民党内に石破おろしの圧力が引き続き強いことなどが円売りを誘っている面も指摘される。また、ポンド相場は底堅く推移。対ドルでは1.34台前半から半ばで売買が交錯、対円で買われているほか、対ユーロでも堅調。昨日の英MPC後のポンド買いの流れが継続している。 NY市場でドル円は147円台での推移となった。本日の為替市場は静かな動きに終始しており、ドル円も147円台での上下動に終始。 ユーロドルは1.16ドル台で上下動。ドル買い戻しの流れから、一時21日線が控える1.1630付近まで下落したもののサポートされた。年初からの上向きの流れは温存しているものの、次の展開待ちといった雰囲気ではあった。
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