株価指数先物 【週間展望】―短期トレードにより値動きの荒さが目立つ可能性

配信元:株探
著者:Kabutan
 今週の日経225先物は、7月24日の高値(4万2080円)突破で上へのバイアスが強まりやすいが、夏休みシーズンで市場参加者が限られるなか、短期的なトレードによって値動きが荒くなる可能性がある。8日の取引終了後のナイトセッションはロング優勢の流れが続き、終盤にかけて4万2390円まで上げ幅を広げる場面もみられた。

 8日の米国市場は主要な株価指数が上昇し、ナスダック指数は史上最高値を更新した。トランプ米大統領は7日、8日付で辞任するクグラー米連邦準備制度理事会(FRB)理事の後任に大統領経済諮問委員会のミラン委員長を充てる人事を明らかにした。パウエルFRB議長に対する利下げ圧力は一段と増すとみられ、次回9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ観測が高まり、買い優勢の展開になった。

 また、トランプ大統領とロシアのプーチン大統領が15日に米国のアラスカ州で会談すると報じられた。ウクライナ停戦の期待が高まるなかで、混乱していた世界のサプライチェーンの正常化にもつながるとの見方が買いを促した。

 日経225先物のナイトセッションは4万2290円で終えた。祝日取引は利食い先行で始まり、4万2180円まで上げ幅を縮めたものの、その後の切り返しで4万2480円(11時時点)まで買われる場面もみられた。ボリンジャーバンドでは8日の通常取引で+1σ(4万1130円)突破から一気に+2σ(4万1880円)を捉えたが、ナイトセッションでは切り上がった+2σ(4万2160円)を明確に上抜けてきた。

 +2σと+3σ(4万2990円)とのレンジに移行するなかで、押し目待ち狙いの買い意欲が強まるほか、ショートカバーが入りやすい。7月24日の高値水準を割り込んでくると達成感が意識される可能性はある。ただし、切り上がりをみせる+2σが支持線として機能することが見込まれそうだ。

 決算発表がピークを通過したことで、機関投資家は動きやすくなるだろう。ただし、夏休みシーズンで市場参加者は限られるとみられ、短期的なトレードに振らされそうである。米国では9月の利下げ観測が高まっているが、12日発表の7月の米消費者物価指数(CPI)や14日発表の7月の米生産者物価指数(PPI)の結果を受けた米国市場の動向にも大きく振らされる可能性がある。15日のトランプ大統領とプーチン大統領の会談にも関心が集まりやすいだろう。市場の期待が後退する局面では、ロング解消の動きが強まる展開には注意しておきたい。

 そのため、オプション権利行使価格の4万2000円から4万3000円のレンジを想定する。+3σ到達で過熱感が警戒されることになるだろうが、バンドが上向きで推移するほか、参加者が限られるなかでは小さいエネルギーでもバイアスが強まりやすく、ショートは控えておきたいところである。

 週間形状では、上向きで推移する+1σと+2σとのレンジ内での値動きが続いている。+2σは4万2880円辺りに位置しており、同バンド接近では上値を抑えられそうだ。ただし、+2σを捉えてくるようだと、4万4530円辺りに位置する+3σとのレンジが意識されてくる可能性があろう。

 なお、エヌビディアとアドバンスト・マイクロ・デバセズは、中国向けに販売した人工知能(AI)半導体収入の15%を米政府に支払うことで、トランプ政権と合意したと報じられている。足もとで調整を強めている東京エレクトロン<8035>[東証P]など、指数インパクトの大きい値がさハイテク株の買い戻しが強まると、先物市場ではロングの動きが強まりそうだ。

 8日の米VIX指数は15.15(7日は16.57)に低下した。週間(1日は20.38)でも大幅な下落となった。1日には7月の米雇用統計の結果を受けて21.90まで急伸し、75日移動平均線(16.35)、200日線(16.41)を一気に上抜けた。ただし、週明け4日は早期利下げ観測が高まり17.52に低下。その後も低下傾向を継続し、8日には25日線(16.54)を明確に下抜けている。そのため、リスク選好に向かいやすいだろう。

 先週末のNT倍率は先物中心限月で13.81倍(7日は13.72倍)に上昇した。週間(1日は13.83倍)では低下。足もとで-2σと-3σとのレンジ内での推移によりNTショートが優勢だったが、週半ばの13.70倍割れ後は下げ渋りをみせ、週末の切り返しで-2σを上抜けてきた。75日線(13.80倍)を捉え、-1σ(13.85倍)に接近。-1σを捉えてくる局面では、NTショートを巻き戻す動きが強まりそうだ。

 7月第5週(7月28日-8月1日)の投資部門別売買動向によると、海外投資家は現物と先物の合算では16週ぶりの売り越しであり、売り越し額は3407億円(7月第4週は1兆2557億円の買い越し)だった。なお、現物は1892億円の売り越し(同6023億円の買い越し)と18週ぶりの売り越し。先物は1515億円の売り越し(同6533億円の買い越し)と4週ぶりの売り越しだった。個人は現物と先物の合算で766億円の買い越しと8週ぶりの買い越し。信託銀行は現物と先物の合算で1137億円の売り越しとなり、5週連続の売り越しだった。

 海外投資家は8月第1週(4日-8日)に再び買い越しに転じていると考えられ、需給が転換したとみるには、しばらく見極めが必要だろう。

 主要スケジュールでは、12日に米国7月消費者物価指数、13日に7月国内企業物価、14日に米国7月生産者物価指数、米国新規失業保険申請件数、15日に4-6月期GDP、中国7月鉱工業生産、中国7月小売売上高、米国7月小売売上高、米国8月ニューヨーク連銀製造業景気指数、米国7月輸出入物価指数、米国7月鉱工業生産などが予定されている。

――プレイバック・マーケット――

●SQ値
09月限 日経225 36906.92  TOPIX  2585.41
10月限 日経225 39701.93  TOPIX  2721.72
11月限 日経225 39901.35  TOPIX  2765.26
12月限 日経225 39434.85  TOPIX  2738.68
01月限 日経225 39343.19  TOPIX  2726.70
02月限 日経225 39432.64  TOPIX  2775.06
02月限 日経225 39432.64  TOPIX  2775.06
03月限 日経225 36483.79  TOPIX  2684.98
04月限 日経225 32737.29  TOPIX  2418.70
05月限 日経225 37572.13  TOPIX  2733.00
06月限 日経225 38172.67  TOPIX  2776.06
07月限 日経225 40004.61  TOPIX  2830.46
08月限 日経225 41368.58  TOPIX  3004.82

◆日経225先物(日足)
         始値   高値   安値   清算値  前日比
25/09 08月08日  41020  42030  41010  41820  +820
25/09 08月07日  40810  41160  40600  41000  +190
25/09 08月06日  40600  40860  40350  40810  +160
25/09 08月05日  40360  40650  40310  40650  +330
25/09 08月04日  40690  40690  39730  40320  -540

◇TOPIX先物(日足)
         始値   高値   安値   清算値  前日比
25/09 08月08日  2988.5  3042.0  2988.5  3026.5  +38.5
25/09 08月07日  2970.0  2997.0  2957.5  2988.0  +19.5
25/09 08月06日  2942.0  2973.0  2928.5  2968.5  +22.5
25/09 08月05日  2922.0  2946.0  2921.0  2946.0  +25.5
25/09 08月04日  2941.5  2944.0  2877.0  2920.5  -32.0

●シカゴ日経平均 円建て
          清算値  前日大阪比
08月08日(09月限) 42280 +460
08月07日(09月限) 41090 +90
08月06日(09月限) 40855 +45
08月05日(09月限) 40530 -120
08月04日(09月限) 40585 +265
 ※前日比は大阪取引所終値比

□裁定取引に係る現物ポジション裁定残(金額)
        売り   前週末比   買い    前週末比
08月01日    814億円  -103億円 1兆4149億円  -1366億円
07月25日    918億円  -423億円 1兆5515億円  +3049億円
07月18日    1342億円  +774億円 1兆2466億円  -27億円
07月11日    568億円  -633億円 1兆2493億円  -1410億円
07月04日    1201億円  +184億円 1兆3904億円  -1005億円
06月27日    1016億円  -974億円 1兆4909億円  -1471億円
06月20日    1991億円  +137億円 1兆6381億円  -764億円

□裁定取引に係る現物ポジション(株数)
        売り      前日比  買い       前日比
08月06日    4995万株   +146万株  6億6910万株   +4055万株
08月05日    4848万株   +1787万株  6億2855万株   +1286万株
08月04日    3061万株   +410万株  6億1568万株   -1341万株
08月01日    2651万株   -447万株  6億2909万株   +3402万株
07月31日    3098万株   -129万株  5億9507万株   +1641万株
07月30日    3227万株    +36万株  5億7865万株   -2282万株
07月29日    3191万株   +0.9万株  6億0148万株   -4447万株
07月28日    3190万株   +285万株  6億4596万株   -4316万株
07月25日    2904万株   -1024万株  6億8912万株   -1404万株
07月24日    3928万株   -159万株  7億0316万株   +4958万株
07月23日    4088万株    +11万株  6億5357万株   +8529万株
07月22日    4076万株    -32万株  5億6828万株   -643万株

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