【前週のレビュー】ニューヨーク原油10月限は4月9日の一代安値54.03ドルか ら6月23日の一代高値の74.25ドルまでの上げ幅の61.8%押しの61.75 ドルを支持線としたもみ合いから63ドル台前半まで戻している。差し当たり前述の上 げ幅に対する半値戻しである64.14ドルが上値目標となってきそうだとした。 【NY原油10月限は半値戻し達成も伸び悩み】 ニューヨーク原油10月限の直近高値は25日に付けた65.10ドルだが、その後 は伸び悩み、前回の当欄で記した一代安値から一代高値までの上げ幅の半値戻しとなる 64.14ドルを挟んだもみ合いが続いている。上値目標とした64.14ドル水準を 達成したものの、これを抜け切るまでの勢いは感じられない。ともあれ、この水準を明 確に抜けると、61.8%戻しの66.53ドル辺りが目先の上値目標となる。、 材料的には、まずロシアとウクライナは停戦協議どころか、お互いに攻撃を激化させ ているのが現状だ。ウクライナによるロシアの石油精製施設への攻撃が激化して、同国 産の原油および石油製品に重大な供給障害懸念が生じているものの、ロシア産エネルギ ー産品が世界から締め出されてもう長い期間が経っているためか、それほど原油相場を 囃す材料となっていない。むしろ戦争の長期化による需要懸念の方が強そうだ。 また直近のロシアのキーウ大規模攻撃によって、直接欧州連合(EU)の建物が被害 を受けたこともあり、欧州中心にロシアに対する非難が高まっており、さらに対露制裁 が強まりそうだ。 季節的要因を見ると、5月下旬のメモリアルデーの祝日から9月上旬のレーバーデー の祝日までが目安とされる米国のドライブシーズンが終了するため、今後はガソリン需 要の減少が気にされることになる。 なお中東関連では、2015年のイラン核合意をイランが守っていないとして、英仏 独の3カ国が28日、国連制裁を再発動する手続きを開始した。これに対して、イラン 国会は核拡散防止条約(NPT)からの完全な撤退を決議する見通しとされており、目 先の成り行きを見守りたい。 外部要因を見ると、ニューヨークダウ平均株価はこれまで高値圏のもみ合いが続いて いたが、直近は4万5600ドル台まで上昇して、過去最高値を更新した。 ドルインデックスは97〜98ポイント台でのもみ合いが続いている。 【9月のインドのロシア産原油輸入、トランプ関税発動でも増加する可能性】 対露制裁に関連して、トランプ米政権が27日、ロシア産原油の主要な輸入国の一つ であるインドからの輸入品に対する関税率を最大50%に引き上げる措置を予定通り発 動した。これは原油にとっては圧迫材料となる一方、より中長期的にはインドのロシア 産からの代替需要増加で支援材料となるという見方もある。 ただ、現状ロシア産原油の輸入シェアを約4割を占めているインドだが、原油輸入元 の多角化を図っているものの、ターム(長期)契約も多いため、短期的にロシア産原油 の輸入を急減させることは無理だ。逆にロイター通信が現地当業者の話として伝えたと ころによると、9月の同国のロシア産原油輸入が前月比で10〜20%増加する可能性 があるという。 【東京原油のテクニカル分析】 東京原油の6番限である1月限は28日に下振れもあったが下ひげで戻して、このと ころは21日移動平均線でもあるボリンジャーバンドの中心線(6万0300円辺り) をを挟んだもみ合いが続いている。 【NY原油、ブレント原油のテクニカル分析】 ニューヨーク原油10月限はほぼ65ドルの節目を上値抵抗として、ボリンジャーバ ンドの中心線(63.67ドル辺り)を挟んだもみ合いが続いている。 ブレント原油11月限もほぼ同じ展開だが、直近はボリンジャーバンドの中心線 (66.82ドル辺り)を完全に上抜けて、1シグマ(68.16ドル辺り)に迫って いる。 MINKABU PRESS *投資や売買については御自身の判断でお願いします。
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