【来週の注目材料】前回は相場の大きな流れに影響=米CPI&PPI 今週は10日に8月の米生産者物価指数(PPI)、11日に同米消費者物価指数(CPI)が発表されます。前回7月分をみると、8月12日の米CPIはコア前年比がやや強めも、コア財は伸びておらず、コアサービスが上昇という結果で、関税の影響は目立ちませんでしたが、14日の米PPIが前年比+3.3%、コア前年比+3.7%と市場予想の+2.5%、+3.0%、6月の+2.3%、+2.6%を大きく超える伸びとなり、関税の影響が警戒されて利下げ期待が後退する展開となりました。米PPI前には年3回利下げ見通しが大勢となっていましたが、PPI後に2回と3回で見方が分かれる中、2回が優勢となりました。 前回のCPIとPPIをもう少し詳細に見ていきます。 CPI前年比はガソリン価格が-9.5%と弱かったこともありエネルギーが-1.6%となって、全体の伸びを抑えました。食品とエネルギーを除いたコア項目では、中古車・トラックが+4.8%と好調も衣料品が-0.2%とマイナス圏となるなど、まちまちでした。コアサービスは運輸や医療の項目が強く+3.6%となっています。 CPI前月比もエネルギーの弱さを受けて+0.2%と伸びが抑えられました。コア前月比は+0.3%と今年1月以来の高い伸びとなりましたが、コア財は+0.2%と6月から横ばいで、強かったのはコアサービス。運輸が+0.8%、医療費も+0.8%と高い伸びとなっています。これらの項目は関税の影響を直接受けるものではなく、人件費の上昇などが響いたと見られたことで、市場の関税警戒がいったん後退しました。 その後発表されたPPIでは、全体及びコアが予想を大きく上回ったほか、米インフレターゲットの対象であるPCE価格指数の算出に利用される項目のうち、ポートフォリオ管理費が前月比+5.8%と急騰。航空旅客サービスは直近のマイナス圏からプラス圏に浮上と強さを見せたことで、警戒感につながりました。 こうした状況を受けて今回のPPIとCPIです。なお今回はPPIが先の発表となる点にも注意です。 PPIは前月比が総合、コア共に+0.3%予想と、前回に+0.9%から伸びが鈍化見込みとなっています。前年比は総合+3.2%、コア+3.5%と、こちらも前回の+3.3%+3.7%から伸びが鈍化する見込みです。 CPIは前月比が総合+0.3%、コア+0.3%と総合が前回の+0.2%から伸びが強まる見込み。前年比は総合+2.9%、コア+3.1%と総合は伸びが強まる見込みも、コアは横ばい予想です。総合の前年比については、8月の米ガソリン価格(米エネルギー情報局調査、全米全種平均)が1ガロン当たり3.258ドルと7月の3.250ドルからほぼ横ばいも、比較元の2024年の数字7月から8月にかけて前月比で-2.56%と下げたことで、前年比で見た場合のマイナス幅が縮小するとみられることが背景にあります。対象地域の違いからそのままの数字ではないですが、EIAベースで計算すると、前年比-9.72%から-7.10%まで縮小します。先行性のあるPPIが前回伸びたことで、CPIの伸び加速が警戒されていますが、今回に関してはコア部分の伸び横ばいが見込まれており、影響は限定的という印象になりそうです。 市場予想通りPPIの伸びが少し落ち着き、CPIは大きな状況の変化なしという結果が見られると、9月の利下げへの期待が継続し、ドル売りが見込まれるところです。 予想を下回り、大きな鈍化を見せた場合は、現状で40%前後となっている年内3回の利下げ(今年残っている9月、10月、12月すべてのFOMCで利下げを実施)の期待が強まり、ドル売りが強まる可能性があります。 MINKABUPRESS 山岡
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