貴金属4品週間見通し=米利下げ観測や米財政不安などでNY金は高止まりに

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
<金>
 NY金12月限は9月2日に3600ドル台に達した後も騰勢を維持し、9日に
3715.2ドルまで上伸し、一代高値に更新した。その後は反落に転じたが3650
ドル割れに抵抗を見せており、下値の堅さを示唆する動きが続いている。
 NY金の堅調な動きは米財政や米経済に対する不安感、9月の米利下げ観測が背景と
なっている。
 米国ではトランプ政権による関税政策を受けて物価高の進行が警戒されているが、そ
の一方で年次雇用統計が下方修正されるなど、米雇用情勢はこれまで想定されてきたよ
りも軟化していたことが示された。
 物価が上昇するなか、雇用が軟化していることで米国の国内総生産(GDP)のうち
の7割程度を占めている個人消費が停滞するリスク懸念が米利下げ観測を強める一因に
なっている。
 ただ、利下げが実施されて資金供給量が増加することが物価高を後押しする恐れもあ
るため、利下げの実施が必ずしも米経済にとって好材料になり得るわけではない点にも
注意が必要となっている。
 一方ではトランプ関税に対して違法判決がくだされており、これが米財政不安を高め
ている。これまでのところ、連邦高裁まで違法との判決が下されており、最高裁の判断
を待つ状況となっているが、最高裁でも違法との判決が下された場合、米政権は大型減
税によって縮小する歳入の関税での補てんを見込めなくなり、米財政不安が高まると予
想される。
 また、違法との判決が下されなかった場合には、雇用情勢が軟化するなか物価が高止
まりする可能性が高まることとなり、米経済成長の見通し不透明感が強まることになり
そうだ。
 9月16〜17日に開催される米公開市場委員会(FOMC)を前に高まる利下げ観
測が買い支援要因になると同時に、利下げが実施された場合には物価高止まりの可能性
が警戒され、利下げが実施されなかった場合には米景気不安が高まることになると見ら
れる。
 目先は一代の高値を更新した後だけに上値警戒感や模様眺め、玉整理の動きから値を
落とす場面が見られる可能性はあるが、米財政不安、米経済不安など安全資産を求める
要因が目立つ状況に変化は無く、NY金は高止まりが見込まれる。
<銀>
 NY銀12月限はNY金に連動しての高止まりとなっており、今月8日には一代の高
値となる4235.5セントを記録。また、9月3日以降は4100セントを下値支持
線にしての高止まりとなっている。
 NY金市場では米利下げ観測や米経済不安が買い支援要因となっている。米利下げは
ドル売りの動きを促す可能性があり、銀市場にとっては強気材料となり得る一方、米経
済不安は工業用としての銀需要低迷の可能性を高める弱材料となる。
 金との連動性から4100セントを上回る高値圏での高下が見込まれるが、安全資産
としての需要に支えられる金に比べると上値は抑制されることになると予想する。
<白金>
 NY白金10月限は9月3日に1465ドルまで浮上する場面が見られたが、その後
は値位置を落として1400ドルを上値抵抗にしてのもちあいが続いている。
 安全資産としての需要が強い金の高止まりが下支え要因となる一方、6月上旬から
7月下旬にかけて急伸し1500ドル台まで値を伸ばした後に値を落とした後で上げ一
服感が強いことが重石になっていると見られる。
 NY金が一代の高値を更新していることで金と白金の値開きが意識されることもあ
り、再び地合いを引き締める可能性はあるものの、世界的な供給引き締まり観測もすで
に織り込み感が強いため、目先は1400ドルが抵抗線となり、もちあいで推移と予
想。
<パラジウム>
 NYパラジウム12月限は8月6日以降、1200ドルを上値抵抗線とする動きが
続いていたが、9月10日にはこれを上抜いている。これまでNY金の堅調に対する
反応も限られていたが、ようやく売りを消化して地合いを引き締めている。低迷してい
たこれまでの反動からさらに値を伸ばすことになりそうだ。
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