【前週のレビュー】ニューヨーク原油10月限は12日の安値61.42ドルから反発 基調となり、一代安値〜一代高値の半値水準である63.75ドルを挟んだエリアまで 戻しているが、64ドル台では上値が抑えられ、もみ合いレンジ上限を抜け切れない状 況にあるとした。 【NY原油11月限は66ドル水準が目先の上値目標】 ニューヨーク原油11月限は新月だった22日の61.61ドルを目先の底として大 きく反発。結果的に今回も8月以降、支持線として機能している61.47ドルに支持 されて反発した。すでに半値の63.75ドルを上回り、25日には65.34ドルの 高値を付けた。9月2日の高値である65.43ドルをほぼ達成しており、目先の上値 目標は一代安値〜一代高値のレンジの高値から38.2%押し(安値から61.8%戻 し)に当たり節目にも近い66.02ドル辺りとなりそうだ。 材料的には、下落場面では世界的な供給過剰見通しが優勢だったが、上昇場面ではウ クライナの執拗なロシアの石油施設攻撃による同国からの供給懸念によるインドや中国 のロシア産からの代替需要期待に加えて、ロシアのポーランドやエストニアなどに対す る度重なる領空侵犯により一触即発の危機を孕んできた北大西洋条約機構(NATO) 加盟国とロシアとの対立という地政学的リスクが優勢になってきた。 なおウクライナのロシアの石油施設攻撃は8月以降23回に達しており、これは1〜 7月までの合計とほぼ同水準であり、8月以降激化しているのが分かる。ロシアはすで にガソリンの輸出を停止しているが、ディーゼルに対しても輸出停止を検討していると の報道もある。またロシアのサンクトペテルブルクにあるスピメックス商品取引所の燃 料価格は過去最高値を付けている。 このようにロシア産の石油製品、原油の輸出余力は極めて低下していることが想定で き、中長期的には、ウクライナ侵攻以降、ロシア産の二大輸入国となってきたインド、 中国の輸入シフトによる代替需要が注目される可能性がある。 外部要因を見ると、ニューヨークダウ平均株価は4万6000ドル台を割り込み、過 去最高値水準からは軟化しているが、まだ高値もみ合い圏の範疇にある。 ドルインデックスは上げ足を加速させており、98ポイント台に乗せてきた。 ドル高が鮮明になっており、目先原油の上値抑制要因となる可能性がある。 【イラクの原油輸出、クルド原油の輸出再開でさらに増加へ】 他に産油国側のニュースとしては、イラク政府と同国北部のクルド自治政府が22 日、パイプラインを利用したトルコのジェイハン経由の原油輸出を再開することで合意 した。輸出能力は日量約23万バレルで、2023年3月以来の再開となる。24日か ら48時間以内に再開されるとの情報から本稿執筆時の26日の午後時点では再開され ている可能性が高い。 なお、イラク国営石油販売会社(SOMO)によると、8月の同国の原油輸出は同 338万バレルと、前月比同20万バレル増となったが、このジェイハン経由の輸出再 開もあって、9月は同340万〜345万バレルに増加する見込みという。また月間ベ ースでフル稼働となる10月以降はさらに増加しそうだ。 【東京原油のテクニカル分析】 東京原油の6番限である2月限は3営業日陽線引けとなり、ボリンジャーバンドの− 2シグマ(5万8920円辺り)から急伸して、2シグマ(6万2250円辺り)を大 きく上回って引けた。 【NY原油、ブレント原油のテクニカル分析】 ニューヨーク原油11月限も3営業日連続で陽線引けとなったが、25日の上げ幅は 抑制されて、高値でボリンジャーバンドの2シグマ(65.27ドル辺り)を試した。 ブレント原油11月限もほぼ同様の展開。25日は高値でボリンジャーバンドの2シ グマ(69.53ドル辺り)を上回ったが引けでは下回った。 MINKABU PRESS *投資や売買については御自身の判断でお願いします。
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