<金> NY金12月限は今月17日に3744ドルまで浮上した後にいったん値を落とした が、23日に3824.6ドルに達し、一代高値を更新。その後は反落に転じたが、 3750ドルが支持線として意識され、下値の堅い動きが続いている。 米連邦準備理事会(FRB)は16〜17日にかけて開催した公開市場委員会(FO MC)で0.25%の利下げを決定したが、年内の利下げ見通しが6月時点の2回から 9月を含めた3回に引き上げられたことを受け、今後も利下げが継続されるとの予想が が強まっていることが金価格を引き上げる一因となっている。 利下げ継続見通しの根拠の一つとなっているのが米雇用の軟化傾向だが、米雇用情勢 は9月の年次雇用統計での雇用者数の大幅下方修正を受けて、実際の雇用がこれまで想 定されていたよりも弱い、との見方が広がっている。 また、米トランプ政権による関税引き上げ以降、輸入価格が上昇するなか、顧客離れ を嫌った企業側の努力によって価格上昇分が吸収されていることで物価の上昇が抑制さ れている状況が続いているが、8月1日には相互関税の上乗せ分が発動されたことが 企業の収益を更に圧迫する要因になっている。 輸入価格の引き上げ分を吸収する手段の一つとして、賃金や雇用者数の調整が行われ ていると見られるが、雇用情勢が軟化すると米国内総生産(GNP)の70%程度を占 める個人消費に影響を与えると懸念される。 その一方で雇用情勢に軟化の傾向が見られるなかでの価格転嫁の動きは、個人消費に マイナスの影響を与えかねない。 このような状況下で消費刺激策としての追加利下げが期待されているが、利下げによ り物価が高止まりする可能性もある点に注意が必要となっている。 一方ではトランプ関税に対する違法判決が1審、2審でくだされた後、最高裁による 判決を待つ状況にあるが、仮に違法判決が出た場合には、他の代替手段で関税が維持さ れる可能性がある一方、関税が停止された場合には米財政懸念が強まると見られる。 また、米政府機関の閉鎖懸念も強まるなか大量解雇が支持されるなど、米国内で経済 ・財政不安が懸念される一方、ウクライナとロシアの戦闘の激化といった地政学不安も 加わり、安全資産を求める動きは引き続き根強く見られると予想する。 NY金12月限は引き続き3750ドルを下値支持線としたうえで、再び3800ド ル台示現の可能性を含めた高値圏でのもみあいが想定される。 <銀> NY銀12月限は25日に4550セントを記録し一代の高値を更新。安全資産とし ての需要から金が一代の高値を更新した後、修正安にも下値堅く推移したことで銀市場 では押し目買い意欲が刺激され、上値追いとなった。 NY金の高止まりが予想されるだけに底意は強いとみる。月末、期末商いで利益確定 の売りが予想されるが、4400セントを下値支持線にしての高下が続くと見られる。 <白金> NY白金1月限は22日までは1450ドル台を上値抵抗線にしての高もみとなって いたが、23日に一代の高値を更新したNY金に追随高となって1500ドルを突破。 これで弾みがついて25日に再び値位置を切り上げ、1572ドルまで値を伸ばし、一 代高値を更新。 NY金との値開き調整の動きや世界的な白金需給の引き締まりが懸念されていること も価格を押し上げる一因になっている。 NY金の高止まりが見込まれるだけに、一代高値をさらに更新する可能性があるなか での高止まりとなるか。ただドル建て現物相場ベースで長期波動線の200日移動平均 線(1131ドル)から35%超の上方乖離となり、短期的に買われ過ぎ感は明らか。 ニューヨーク白金市場は月末、期末商いで利食い売りが出やすい場面であることは警戒 すべきだ。 <パラジウム> NYパラジウム12月限は白金の上伸に連動高となり、25日には1287.50 ドルと今年7月31日以来の水準まで上昇。独自の要因に欠けるなかで戻り待ちの売り が入った後も買い戻されて値位置を切り上げる動きが続いている。 NY金の高止まりが意識されるなか、1300ドルを目指す動きが想定される。 MINKABU PRESS
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