石油週間展望＝ロシア産の供給難やＮＡＴＯとの地政学的リスク増大

　　　　　　　　　　　　［９月２９日からの１週間の展望］
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         週間高低（カッコ内は日付）     9 月 22 日〜 9 月 26 日
                始  値    高  値        安  値       帳入値    前週末比
ガソリン  先限   81,000    81,000(22)    81,000(22)   81,000         ±0
灯　　油  先限   85,000    85,000(22)    85,000(22)   85,000      　 ±0
原　　油 2月限   60,320    62,990(26)    59,300(24)   62,880      +2,630
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                                        9 月 22 日〜 9 月 26 日
＜海外原油＞ 週間４本値　始　値   高  値　    安　値     終　値　  前週末比
　　ＮＹ原油 11 月限     62.30    66.42(26)   61.61(22)  65.72       +3.32
ブレント原油 11 月限     66.62    70.76(26)   65.94(22)  70.13       +3.45
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26日　東京時間の午後3時15分現在　ドル・円　149.76　前週末比 2.08円の円安
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【前週のレビュー】ニューヨーク原油１０月限は１２日の安値６１．４２ドルから反発
基調となり、一代安値〜一代高値の半値水準である６３．７５ドルを挟んだエリアまで
戻しているが、６４ドル台では上値が抑えられ、もみ合いレンジ上限を抜け切れない状
況にあるとした。

【ＮＹ原油１１月限は６６ドル水準が目先の上値目標】
　ニューヨーク原油１１月限は新月だった２２日の６１．６１ドルを目先の底として大
きく反発。結果的に今回も８月以降、支持線として機能している６１．４７ドルに支持
されて反発した。すでに半値の６３．７５ドルを上回り、２５日には６５．３４ドルの
高値を付けた。９月２日の高値である６５．４３ドルをほぼ達成しており、目先の上値
目標は一代安値〜一代高値のレンジの高値から３８．２％押し（安値から６１．８％戻
し）に当たり節目にも近い６６．０２ドル辺りとなりそうだ。

　材料的には、下落場面では世界的な供給過剰見通しが優勢だったが、上昇場面ではウ
クライナの執拗なロシアの石油施設攻撃による同国からの供給懸念によるインドや中国
のロシア産からの代替需要期待に加えて、ロシアのポーランドやエストニアなどに対す
る度重なる領空侵犯により一触即発の危機を孕んできた北大西洋条約機構（ＮＡＴＯ）
加盟国とロシアとの対立という地政学的リスクが優勢になってきた。
　なおウクライナのロシアの石油施設攻撃は８月以降２３回に達しており、これは１〜
７月までの合計とほぼ同水準であり、８月以降激化しているのが分かる。ロシアはすで
にガソリンの輸出を停止しているが、ディーゼルに対しても輸出停止を検討していると
の報道もある。またロシアのサンクトペテルブルクにあるスピメックス商品取引所の燃
料価格は過去最高値を付けている。
　このようにロシア産の石油製品、原油の輸出余力は極めて低下していることが想定で
き、中長期的には、ウクライナ侵攻以降、ロシア産の二大輸入国となってきたインド、
中国の輸入シフトによる代替需要が注目される可能性がある。

　外部要因を見ると、ニューヨークダウ平均株価は４万６０００ドル台を割り込み、過
去最高値水準からは軟化しているが、まだ高値もみ合い圏の範疇にある。
　ドルインデックスは上げ足を加速させており、９８ポイント台に乗せてきた。
　ドル高が鮮明になっており、目先原油の上値抑制要因となる可能性がある。

【イラクの原油輸出、クルド原油の輸出再開でさらに増加へ】
　他に産油国側のニュースとしては、イラク政府と同国北部のクルド自治政府が２２
日、パイプラインを利用したトルコのジェイハン経由の原油輸出を再開することで合意
した。輸出能力は日量約２３万バレルで、２０２３年３月以来の再開となる。２４日か
ら４８時間以内に再開されるとの情報から本稿執筆時の２６日の午後時点では再開され
ている可能性が高い。
　なお、イラク国営石油販売会社（ＳＯＭＯ）によると、８月の同国の原油輸出は同
３３８万バレルと、前月比同２０万バレル増となったが、このジェイハン経由の輸出再
開もあって、９月は同３４０万〜３４５万バレルに増加する見込みという。また月間ベ
ースでフル稼働となる１０月以降はさらに増加しそうだ。

【東京原油のテクニカル分析】
　東京原油の６番限である２月限は３営業日陽線引けとなり、ボリンジャーバンドの−
２シグマ（５万８９２０円辺り）から急伸して、２シグマ（６万２２５０円辺り）を大
きく上回って引けた。

【ＮＹ原油、ブレント原油のテクニカル分析】
 ニューヨーク原油１１月限も３営業日連続で陽線引けとなったが、２５日の上げ幅は
抑制されて、高値でボリンジャーバンドの２シグマ（６５．２７ドル辺り）を試した。

　ブレント原油１１月限もほぼ同様の展開。２５日は高値でボリンジャーバンドの２シ
グマ（６９．５３ドル辺り）を上回ったが引けでは下回った。

＜当面の予定＞
２７日【経済】中国工業利益 2025年8月（国家統計局）

２９日【経済】景気動向指数 2025年7月改定状況（内閣府）
　　　【経済】英マネーサプライ 2025年8月（BOE）
　　　【経済】米中古住宅販売仮契約指数 2025年8月（全米不動産協会）

３０日【経済】鉱工業生産指数 2025年8月速報（経済産業省）
　　　【経済】小売業販売額 2025年8月速報（経済産業省）
　　　【経済】自動車生産・輸出実績 2025年7月（JAMA）
　　　【決済】プラッツドバイ原油 2025年9月限（東京商品）
　　　【経済】中国製造業購買担当者景況指数 2025年9月（中国物流購買連合会）
　　　【経済】中国非製造業購買担当者景況指数 2025年9月（中国物流購買連合会）
　　　【経済】中国製造業購買担当者景況指数 2025年9月（RatingDog）
　　　【経済】中国サービス業購買担当者景況指数 2025年9月（RatingDog）
　　　【経済】独雇用統計 2025年9月（連邦雇用庁）
　　　【経済】独消費者物価指数 2025年9月速報（連邦統計庁）
　　　【経済】仏消費者物価指数 2025年9月速報（INSEE）
　　　【経済】仏生産者・輸入物価指数 2025年8月（INSEE）
　　　【経済】英国内総生産 確報値 2025年4-6月期（国立統計局）
　　　【納会】英ブレント原油 2025年11月限（ICE EUROPE）
　　　【経済】米住宅価格指数 2025年7月（連邦住宅金融局）
　　　【経済】米ケース・シラー住宅価格指数 2025年7月（S&P）
　　　【経済】米シカゴ購買部協会景気指数 2025年9月（シカゴ購買部協会）
　　　【経済】米消費者信頼感指数 2025年9月（カンファレンスボード）
　　　【工業】米週間石油統計（API）
　　　【納会】米改質ガソリン・ヒーティングオイル 2025年10月限（NYMEX）

　１日【経済】短観 概要及び要旨 9月調査（日本銀行）
　　　【経済】新車登録台数 2025年9月（自販連）
　　　【経済】軽自動車新車販売速報 2025年9月（全軽自協）
　　　【工業】原油・石油製品供給統計週報（石油連盟）
　　　【工業】石油製品給油所小売価格調査（資源エネルギー庁）
　　　【発会】プラッツドバイ原油 2026年12月限（東京商品）
　　　【休日】中国国慶節
　　　【経済】ユーロ圏製造業購買担当者景況指数 2025年9月確報（Markit）
　　　【経済】ユーロ圏消費者物価指数 2025年9月速報（EUROSTAT）
　　　【経済】米住宅ローン申請指数（MBA）
　　　【経済】米雇用統計 2025年9月（ADP）
　　　【経済】米建設支出 2025年8月（商務省）
　　　【経済】米製造業景況指数 2025年9月（ISM）
　　　【経済】米新車販売台数 2025年9月（Autodata）
　　　【工業】米週間石油統計（EIA）
　２日【経済】対外及び対内証券売買契約等の状況 9月21日-9月27日（財務省）
　　　【休日】中国国慶節
　　　【経済】ユーロ圏雇用統計 2025年8月（EUROSTAT）
　　　【経済】米新規失業保険申請件数（労働省）
　　　【経済】米耐久財受注 2025年8月確報値（商務省）
　　　【経済】米製造業新規受注 2025年8月（商務省）
　３日【経済】労働力調査（失業率） 2025年8月（総務省）
　　　【経済】一般職業紹介状況（有効求人倍率） 2025年8月（厚生労働省）
　　　【休日】中国国慶節
　　　【経済】ユーロ圏サービス業購買担当者景況指数 2025年9月確報（Markit）
　　　【経済】ユーロ圏購買担当者総合景況指数 2025年9月確報（Markit）
　　　【経済】ユーロ圏生産者物価指数 2025年8月（EUROSTAT）
　　　【経済】仏鉱工業生産指数 2025年8月（INSEE）
　　　【経済】雇用統計 2025年9月（労働省）
　　　【経済】非製造業景況指数 2025年9月（ISM）
　　　【商品】建玉明細報告（CFTC）
　  　【工業】全米石油堀削稼動数（米ベーカーフューズ）

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