石油週間見通し=レンジ下放れ、ウクライナの和平案に注目

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
 【前週のレビュー】ニューヨーク原油1月限は13日には58.11ドルまで下落し
て、一代高値71.38ドル〜一代安値54.72ドルのレンジの高値から78.6%
押しとなる58.29ドルを達成したあと戻している。チャート的には、10月下旬以
降強い上値抵抗となっている61.8%押し水準の61.08ドル、10月24日の高
値61.84ドルが目先の上値目標となりそうだとした。

 【NY原油1月限はレンジ下放れ】
 ニューヨーク原油1月限は今回の戻りも18日の60.85ドルまでで、前回の当欄
で記した一代高値〜一代安値までの一代高値から61.8%押しに当たる61.08ド
ルが引き続き上値抵抗として機能した。20日には58.59ドルまで下落して、再び
前述の78.6%押しとなる58.29ドルを維持できるか否かが目先の焦点となって
いたが、21日のアジアの時間帯に10月中旬以降続いていた58.29〜61.08
ドルのエリアのもみ合いを下放れて、ここまでの安値は58.02ドルとなっている。
1カ月以上続いたもみ合いもみ合いレンジを下放れたことで、目先の下値目標は10月
20日の55.99ドル、それを割り込んだ場合、一代安値の54.72ドルとなる。

 材料的には、米露がウクライナ抜きで和平案を協議して、領土割譲を含んだかなりロ
シア側に有利な条件でウクライナに和平案を承諾するように迫っているが、ゼレンスキ
ー大統領が汚職疑惑の浮上もあり完全に拒否する姿勢を見せていないことで、和平期待
から原油には圧迫要因となっている。チャート自体が悪化していることも考慮すると、
和平が合意した場合、いったんは下振れるする可能性が高そうだ。

 一方、米国がロシア石油大手のロスネフチとルクオイルに制裁を課して、これまで猶
予期間があったが、21日にそれが終了してロシアからの供給が一気にしぼむことにな
る(既にこれまでロスネフチから日量50バレルの原油をターム契約で買い付けていた
インドの石油企業が他国への切り替えを表明している)が、既にロシアが石油製品など
を輸出停止している経緯もあり、あまり支援材料とはなっていない。

 外部要因を見ると、ニューヨークダウ平均株価は過去最高値から大きく崩れる展開。
直近は4万5700ドル台で推移。
 ドルインデックスは再び騰勢を強めて、100ポイント台に乗せてきた。
 株安にドル高と、原油にとっては向かい風となってきた。

【米国に原油掘削の拡大計画=内務省草案】
 今の相場に直接的に影響する可能性は低いが、米国の2010年代の「シェール革
命」に次ぐ、米国のエネルギー政策の重要な転換とも言える原油掘削の拡大草案が20
日に米内務省から示された。
 カリフォルニア、フロリダ、アラスカなどの沖合で新たな海域での原油掘削を拡大す
計画案で、原油や天然ガス権益の販売を大幅に拡大する内容だが、その内訳はアラスカ
沖21件、太平洋岸6件、メキシコ湾7件、最大34件の海上リース販売を提案すると
いう。
 中長期的には米国の原油生産をさらに増加させるものとなるため、上値抑制要因とな
り得る。ただし、環境保護団体や西海岸の議員からの反対の声があり、カリフォルニア
州知事も反対している。草案のまま実施できるかは不透明だ。

【東京原油のテクニカル分析】
 東京原油の6番限である4月限は21日の大陰線で縮小しているボリンジャーバンド
2シグマ(6万1860円辺り)を超える水準から21日移動平均線でもあるボリンジ
ャーバンドの中心線(6万0720円辺り)を割り込む水準まで下落した。

【NY原油、ブレント原油のテクニカル分析】
 ニューヨーク原油1月限は直近の2営業日陰線となり、ボリンジャーバンドの1シグ
マ(60.76ドル辺り)を上値抵抗として、20日には−2シグマ(58.48ドル
辺り)近くまで下落した。

 ブレント原油1月限もほぼ同様の展開。ボリンジャーバンドの1シグマ(64.96
ドル辺り)を上値抵抗として、20日には−1シグマ(63.45ドル辺り)を割り込
んだ。


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