プラチナ週間展望=もみ合い、米利下げ観測後退も供給不足見通し

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
             [11月24日からの1週間の展望]
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   週間高低(カッコ内は日)   2026 年 10 月限  11 月 17 日〜 11 月 21 日
        始 値   高 値    安 値    帳入値   前週末比
  金          21,239    21,253 (17)   20,257 (18)     20,719        -501
  銀           255.0     255.1 (21)    231.0 (18)      245.2        -9.8
 プラチナ       7,418     7,418 (17)    6,980 (18)      7,104        -299
 パラジウム     7,100     7,100 (17)    7,000 (18)      7,000        -100
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  NY貴金属(カッコ内は限月)      | 東京外為・株式/NY原油
        21  日終値  前週末比  |        終 値      前週末比
  金       (12) 4,079.5     -14.7   | ドル・円    157.14      2.59 円安
  銀       (12) 4,991.3     -77.3   | 日経平均  48,625.88      -1750.65
 プラチナ   ( 1) 1,524.2     -41.0   | NY原油 ( 1)  58.06         -1.89
 パラジウム (12) 1,386.80    -40.10  |* ドル・円は15時45分現在、原油は 21日
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【前週のレビュー】
 プラチナは米連邦準備理事会(FRB)の利下げ期待も経済指標の発表予定を確認、
とした。
 プラチナは米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測後退が圧迫要因になったが、金
の下げ一服などが下支えになった。現物相場は10月22日以来の安値1508.10
ドルを付けた。プラチナ先限は7日以来の安値6980円を付けたのち、下げ一服とな
った。一方、パラジウムの現物相場は7日以来の安値1368.84ドルを付けた。
 米カンザスシティー地区連銀のシュミッド総裁は、過熱したインフレに対する懸念は
関税の影響だけにとどまらないと述べ、12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で
再び利下げに反対意見を表明する可能性を示唆した。ジェファーソン米連邦準備理事会
(FRB)副議長は、FRBの政策金利は「中立水準」に近づいているため、追加利下
げはゆっくりとしたペースで進めていかなければならないと述べた。米クリーブランド
地区連銀のハマック総裁は、9月の米雇用統計で雇用者数が予想以上に増加したことが
示されるなか、高止まりするインフレ率を抑えるために金融政策を適切な状態にする必
要があるとの考えを改めて示した。米シカゴ地区連銀のグールズビー総裁は、インフレ
の2%回帰に向けた進展が停滞し、誤った方向に進み始めているため、前倒しの過度の
利下げに不安を抱いているという認識を示した。一方、ウォラー米FRB理事は、米政
府閉鎖中に入手可能だったデータは雇用市場がほぼ失速状態にあることを示していると
し、12月の米FOMCでさらに利下げを行う根拠となると述べた。10月28〜29
日の米FOMC議事録によると、データ不足で政策見通しが不透明、かつインフレ抑制
を巡り意見が分かれるなかで、珍しく明確な反対票を伴う形で政策金利を引き下げたこ
とが明らかになった。
 ADPが発表した米民間雇用者数は、11月1日終了週までの4週間に週当たり平均
で2500人減少した。今回のデータは、10月下旬に労働市場の勢いが失速したこと
を示唆しているが、雇用減少のペースは11月にかけて鈍化したようだ。9月の米雇用
統計によると、非農業部門雇用者数は前月から11万9000人増加し、事前予想の
5万人増を大幅に上回った。失業率は4.4%と前月の4.3%から悪化し、約4年ぶ
りの高水準に達した。10月分は公表されず、11月分は12月16日に発表される。
12月9〜10日の米連邦公開市場委員会(FOMC)に間に合わず、データ不足で利
下げが見送られるとの見方が出ている。CMEのフェドウォッチで、12月利下げの確
率は39.1%(前週50.1%)に低下した。
【南アのプラチナETF残高が減少】
 プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、19日のロンドンで11.45トン
(前週末11.45トン)、20日のニューヨークで37.61トン(同37.61ト
ン)と変わらず、19日の南アで6.47トン(同7.15トン)に減少した。またパ
ラジウムETFの現物保有高はロンドンで5.28トン(同5.30トン)に減少、ニ
ューヨークで17.18トン(同17.18トン)、南アで0.30トン(同0.30
トン)と変わらずとなった。南アのプラチナETF残高やロンドンのパラジウムETF
残高が減少した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、
9月30日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは2万1765枚
(前週2万2042枚)、パラジウムの売り越しは3085枚(同3840枚)に縮小
した。
【プラチナの3年連続の供給不足見通し】
 ワールド・プラチナ・インベストメント・カウンシル(WPIC)の四半期報告によ
ると、2025年は22トンの供給不足と前回見通しの26トンから下方修正された
が、3年連続の不足予想に変わりはなかった。トレヴァー・レイモンドCEOは
「2025年のプラチナの大幅な供給不足は、貿易摩擦に関連した投資フローによって
拍車がかかった。世界情勢の不確実性が依然として続くなかで、2026年に市場の均
衡という現在の予測は、貿易摩擦の緩和を想定したもの。こうした緊張が続く場合は、
2026年もプラチナの供給が需要に追い付かない可能性が高い」と述べた。
当面の予定(イベント・経済統計)
24日 ●国民の祝日
    独景況感指数 2025年11月(ifo)
25日 独国内総生産 2025年7-9月期確報(連邦統計庁)
    米小売売上高 2025年9月(商務省)
    米生産者物価指数 2025年9月(労働省)
    米ケース・シラー住宅価格指数 2025年9月(S&P)
    米消費者信頼感指数 2025年11月(カンファレンスボード)
    米中古住宅販売仮契約指数 2025年10月(全米不動産協会)
    建玉明細報告(CFTC)
26日 政策金利公表(NZ準備銀行)
    米国内総生産 2025年7-9月期改定値(商務省)
    米卸売在庫 2025年10月速報値(商務省)
    米耐久財受注 2025年10月速報値(商務省)
    米新規失業保険申請件数(労働省)
    シカゴ購買部協会景気指数 2025年11月(シカゴ購買部協会)
    米個人所得・支出 2025年10月(商務省)
    米新築住宅販売 2025年10月(商務省)
    米地区連銀経済報告・ベージュブック(FRB)
27日 ●米国(サンクスギビングデー)
    中国工業利益 2025年10月(国家統計局)
28日 労働力調査(失業率) 2025年10月(総務省)
    鉱工業生産指数 2025年10月速報(経済産業省)
    小売業販売額 2025年10月速報(経済産業省)
    独雇用統計 2025年11月(連邦雇用庁)
    独消費者物価指数 2025年11月速報(連邦統計庁)
MINKABU PRESS 東海林勇行
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