きょうのNY為替市場はドル円は108円台半ばでの推移となっている。ロンドン時間の前半に108.70円近辺まで上昇したものの、その後は伸び悩む展開となっている。トランプ大統領がメキシコへの関税発動を見送ったことで、市場のムードは更に改善している。株式市場もポジティブな反応が見られる中、ドル円も下げ渋る動きが出ている。 しかし、上値が重い展開は続いており、110円回復を目指す動きにはなっていない。FRBの年内利下げ期待が非常に高まっており、市場の注目は既に利下げの有無よりも、時期と幅に移っている。ハト派色の強い向きは今月のFOMCで利下げを実施してくるとの見方も出ている状況。 先週、米先物取引協会(CFTC)が発表したIMM投機筋の建玉ではドルロングの建玉が減少していた。目先の上値メドとしては21日線が109円台前半に来ているが、かなり上値抵抗感が強そうだ。 また、メキシコ関税が見送りになったことで、リスク選好の円安が見られおりドル円はサポートされているが、米中対立に関してはなお、出口が見えないようだ。トランプ大統領は「中国は合意したがっている。なぜならば、しなければならないからだ。関税を払いたくない企業は他国に出て行く」などと述べていたほか、「習主席が会談を拒否すれば、追加関税を直ちに実施するだろう」とも語った。トランプ大統領は3000億ドル相当の中国からの輸入品への追加関税を直ぐにでも発動する意向を示している中、こちらは不透明な情勢に変化はない。 ポンドドルはNY時間に入って下げ渋っているものの、きょうは一時1.26ドル台半ばまで下落し、再び下値模索の動きが見られている。英EU離脱を巡る政治的混乱がポンドを圧迫していたが、きょうはこれまで意外にしっかりとしていたファンダメンタルズに黄色信号が灯っている。 英政府統計局(ONS)が発表した4月の製造業生産指数は前月比3.9%低下し、2002年6月以来の大幅低下となった。月次GDPも2ヵ月連続で縮小している。自動車生産は24%減少した。 4月の月次GDPは前月比0.4%減少し、2016年3月以来の大幅な落ち込みとなった。英国立経済社会研究所 (NIESR)は4-6月期はマイナス成長に落ち込も公算が大きいと述べている。製造業と建設業が落ち込んでおり、EU離脱に向けて在庫を積み上げた反応が出ている可能性がありそうだ。各国中銀が利下げなどハト派姿勢に転じつつある中、英中銀は利上げ姿勢を継続しているが、今後の動向次第では変化する可能性もありそうだ。その場合、ポンドの圧迫要因と成り得る。 ユーロドルは1.12ドル台に下落する場面も見られたものの、1.13ドル台に戻す展開。 minkabu PRESS編集部 野沢卓美
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