[Vol.1041] OPECプラスの原油生産は22年にコロナ前に戻る

著者:吉田 哲
原油反発。米主要株価指数の反発などで。66.42ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。1,816.75ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。21年09月限は12,920元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。21年09月限は414.5元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで741.85ドル(前日比4.05ドル拡大)、円建てで2,595円(前日比3円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(7月20日 19時1分頃 先限)
6,397円/g 白金 3,802円/g
ゴム 206.8円/kg とうもろこし 34,620円/t

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「OPECプラスの原油生産は22年にコロナ前に戻る」

前回は、「OPECプラス、2週間遅れで8月以降の方針を合意」として、紆余曲折を経てようやく決まった8月以降のOPECプラスの減産の方針について書きました。

今回は、「OPECプラスの原油生産は22年にコロナ前に戻る」として、前回に続き、OPECプラスの減産の方針について書きます。(グラフは前回と同じです)

サウジやイランなどで組織するOPEC(現在は13カ国)と、OPECに加盟していないロシアやカザフスタンなどの主要な産油国(現在は10カ国。米国は入っていない)は、2016年12月10日、協調して減産を行うことを決めました。

ここで言う原油の減産とは、OPECプラスが、世界全体の石油の需給バランスを引き締める(あるいは緩めない)ことを目的として、人為的に生産量を減らす行為のことです。

結果的に、OPECプラスの減産は需給バランスを実際に引き締めたり、その生産シェアの大きさから(世界全体のおよそ半分)、減産を行っている事実が(減産の効果はさておき)、需給バランスが引き締まるイメージを醸成したりして、原油価格の上昇要因になることがあります。

減産は、自ら原油生産量を削減し(量の削減)、得られたはずの収益を放棄する意味を持つため、OPECプラスの国々にとっては、身を切る行為と言えます。

減産を実施して原油価格が上昇すれば(単価が上昇)、量の削減分の損を補ったり、原油価格の上昇の程度によっては利益を拡大させたりする場合もありますが、減産を実施しても原油価格が上昇しなければ、身を切る度合い(痛み)は大きくなります。

彼らは自らをDoC(Declaration of Cooperation 協力宣言)のもとにあるとしています。OPECのプレスリリースでは、彼ら自身のことを「DoC」と呼ぶ場合があります(報道ではほとんどOPECプラスですが)。

DoCの名のもと、彼らは2017年1月から、削減量を調節したり、減産に参加する国を入れ替えたり、幾度となく減産期間を延長させたりしながら、減産に励んできました。

新型コロナのパンデミック化などを受けて、原油価格が急落したことをきっかけに、単価の急落を補うべく、量を増加させる目的で大幅な増産をした2021年4月を除けば、4年以上、減産を行っているわけです。

そして2021年5月からは、一時は日量970万バレルという、過去にないとてつもない規模の減産を実施するなど、大規模な減産活動を展開し、徐々に削減量を縮小させながら、今に至っています。

「世界の原油生産量の半分以上を占める」、「かつて、OPECはスウイング・プロデューサー(振り子のように生産量を増減できる生産者)と呼ばれた」などの事実から、今でもその名残からか、OPECが減産(増産)を実施すれば原油価格が上昇(下落)すると言われます。それは間違いではないものの、それだけではない点に注意しなければなりません。

図:OPECプラスのうち減産に参加する20カ国の原油生産量の合計 単位:百万バレル/日量 (前回と同様)


出所:OPECの資料およびブルームバーグのデータより筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。