OPEC原油生産量、順調に減少中

著者:吉田 哲
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原油(WTI先物)下落。主要株価指数の下落などで。54.83ドル/バレル近辺で推移。

金強含み。ドルインデックスの弱含みなどで。1469.15ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)下落。9月限は10280元/トン近辺で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。9月限は433.0元/バレル近辺で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで611.0ドル(前日比6.5ドル拡大)、円建てで2027円(前日比3円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(8月5日17時頃 先限)
 4948円/g 白金 2921円/g 原油 36990円/kl
ゴム 165.0円/kg とうもろこし 23470円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)
東京原油 1時間足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「OPEC原油生産量、順調に減少中」

前回は「なぜ、サウジは孤軍奮闘するのか?」として、孤軍奮闘して減産に取り組むサウジの動向について書きました。

今回は「OPEC原油生産量、順調に減少中」として、前回同様、海外主要メディアが先週公表したOPEC加盟国の原油生産量のデータから、足元のOPEC全体の原油生産量の推移について書きます。

当該データは、7月のOPECの原油生産量が6月に比べて日量28万バレル減少、1月に比べて日量156万バレル減少したことを示しています。

グラフの見た目から、OPECの減産が非常によく守られていることを連想させられます。

同データによれば、確かに2019年7月は、OPECの減産参加国は減産を順守することができました。

ただ、このグラフの見た目の印象だけで、OPECの減産が順守された、と解釈することは難しいと筆者は考えています。

減産が上手くいっているかどうかを判断するには、どの国が減産をしたのか?ということが非常に重要です。

減産に参加していない国の生産量が減少しても、減産が上手くいっていることにはならないからです。

“減産順守率”というOPEC等が公表している減産の進捗状況を示すデータがあります。

100%を超えると減産が守られていることを示すこのデータの計算根拠に、減産に参加していない国は含まれていません。

つまり、減産が上手くいっているかどうかの判断に、減産に参加していない国(減産免除国)は無関係なわけです。

減産の進捗を確認するために注目しなければならないのは“減産参加国”の動向だと言えます。

その意味では、減産を順守できているか、という減産の進捗を確認するには、OPEC全体ではなく、減産参加国のみの、原油生産量の動向に注目する必要があります。

次回以降、減産参加国の原油生産量について書きます。

図:OPECの原油生産量 単位:百万バレル/日量


出所:海外主要メディアのデータをもとに筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。