週刊石油展望

著者:三浦 良平
ブックマーク
 先週末のWTI原油は前週比1.37ドル高の69.97ドル、ブレント原油は0.92ドル高の73.16ドルとなった。

 前週末の海外原油は米ジャクソンホール会議を受けドル安推移したことや、ハリケーン「アイダ」の影響で供給懸念が高まっていることが支えとなる中で堅調な推移となった。

 先週はハリケーンの影響で米原油生産が減少していることやドル安、株高進行していることなどが支えとなる中で堅調な推移となった。週明けは大型ハリケーン「アイダ」の影響で米メキシコ湾岸の原油生産が停止しており、日量170万B程度の生産が停止していると伝わったことが支えとなり上昇した。一方でOPECプラスが計画通り月次で日量40万Bの増産を目指していると伝わったことは重しとなった。翌31日はOPECプラス会合を前に調整売りが入ると、OPECの共同技術委員会(JTC)において来年1月以降は原油供給が超過に転じるというデータが提出されたことで、主要産油国が来年以降の増産計画を調整する可能性が意識され軟調な推移となった。翌1日はほぼ横ばいでの推移。OPECプラス会合では現行の合意通り10月も日量40万Bの増産を行うことが確認され、予想通りの展開となったことから市場に反応は見られなかった。この日発表のあったEIA統計では石油製品需要が日量2282万Bと過去最高水準案で増加していたことや原油在庫が716.9万B減少と予想以上に減少していたことが好感された一方、製油所稼働率の低下で需要期の終わりが意識されたほか、米原油生産量の増加は重しとなった。週末にかけてはハリケーン通過後の米メキシコ湾岸の海上油田や製油所の稼働再開が遅れており、依然として日量150万Bの原油生産が停止していると伝わったことが支えとなり堅調な推移となった。



 今週の原油相場は横ばいでの推移が想定されそうか。ハリケーン「アイダ」による被害が想定より大きく、未だ日量150万Bの生産が停止しており、海上油田のプラットフォームのうち再開のメドがついたのは25%程度にとどまっている。この混乱が長引くようだとまだ上昇の余地はあるほか、ドル安、株高進行していることも支えとなりそうだ。一方でOPECのリポートで来年には供給過剰に転じると見込まれていることや米雇用統計の弱さなどは重しとなりそうであり、強弱まちまちとなる中でレンジ内での推移が見込まれそうだ。

 

 

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。