週刊石油展望

　先週末のWTI原油は前週比5.73ドル安の63.41ドル、ブレント原油は5.53ドル安の66.02ドルとなった。

　先週のブレント原油は、70ドルから66ドルまで約4ドル下落し、6営業日連続で続落した。

　インドがロシア原油の購入を理由にトランプ政権から25％の追加関税が課された。この対応に対してもインドがロシア産原油の購入を継続するとの市場の見方が強まったことが重しとなった。前週末に開催されたOPEC有志国の総会では、9月に55万バレルの増産が決定された。また、次回の会合（10月以降）では、自主減産枠である160万バレルについて協議される可能性があるとされている。さらに、トランプ大統領とプーチン大統領がウクライナ侵攻に関する停戦協議のため、首脳会談の開催に合意したことも、市場に売り圧力をかける要因となった。ただし、2次制裁の期限が8日に迫っていたことから、市場は依然として神経質な動きを見せていた。トランプ政権が首脳会談の開催を決定したにもかかわらず、ロシア原油に対する2次制裁措置を解除していないことから制裁への警戒感が高まっており、下値には慎重な動きとなっている模様だ。


出所：みんかぶ先物WTI原油先物複合チャート

　今週の原油先物市場は米国の関税措置、ロシアへの制裁、そしてウクライナ戦争をめぐる米露間会談の進展に影響を受ける展開が想定される。トランプ大統領とプーチン大統領が首脳会談を行うと伝わっており、これにより停戦の可能性が高まり、最終的な和平合意に至る可能性さえも高まっている。ただし、交渉は依然として困難であり、合意は難しいとみる向きも少なくない。たとえ交渉が遅れ、二次関税が発動したとしてもインドはロシア産石油の購入を部分的に減少させるとの見方から供給懸念が高まりそうであることは支援材料となりそうか。一方でOPECは今後も増産を進めていく見通しであることは上値の圧迫要因となりそうだ。