[Vol.1080] なぜ大学入試改革が行われているのか?

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反落。米主要株価指数の反落などで。72.36ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。1,761.90ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。22年01月限は13,855元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。21年11月限は474.3元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで829.9ドル(前日比2.5ドル縮小)、円建てで2,919円(前日比74円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(9月17日 14時50分頃 先限)
6,219円/g 白金 3,300円/g
ゴム 203.5円/kg とうもろこし 34,130円/t

●NY銀先物(期近) 月足  単位:ドル/トロイオンス


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「なぜ大学入試改革が行われているのか?」

前回は、「なぜ、SDGsは複雑なのか?」として、この20年間で社会が変化し、「複雑化」したことを、SDGsの観点から述べ、相場分析の際に、過去の常識を捨てることの重要性を補足しました。

今回は、「なぜ大学入試改革が行われているのか?」として、米同時多発テロ後の20年間で世の中が「複雑化」した例を、「大学入試改革」の側面から述べます。日本における「大学入試改革」をめぐる動きは、2012年ごろから活発化しはじめました。

今般の「大学入試改革」は、「学力の3要素」を多面的・総合的に評価することを旨としています。従来のいわゆる「詰込み型」は、知識の習得には有効であるものの、現代社会で求められる人物を育てることを念頭におけば、不十分との認識です。

文部科学省の資料には、「詰込み型」から脱却することを決め、大学入試改革を進めるに至った背景について、以下のように書かれています。

「国際化、情報化の急速な進展、社会構造も急速に、かつ大きく変革」「新たな価値を創造していく力を育てることが必要」などと、力強い文言が盛り込まれていることから、文部科学省が「世の中が変わった」ことを強く認識していることが伺えます。

日本において、こうした議論が活発になったのは先述のとおり、2012年ごろからです。

また、高校が大学に提出する調査書を電子化することの研究では、「多様性」への評価を拡充することについて、言及されています。「多様性」は大学入試改革に関わらず、近年、頻繁に耳にするようになりました。「ダイバーシティ」です。

「多様性」を評価項目として重視する背景には、世の中で多様化が進行したこと、多様化が今後さらに進行する可能性があることが、挙げられます。物事を点で見る、見えているものだけを見る、見たいもの信じたいもの聞きたいもの感じたいものだけを取り入れる、などの姿勢は、多様性を重視する考え方に反します。

「多様性」を意識する時のコツは、頭の中をニュートラル(中立)にすることだと、筆者は考えています。さまざまなことが身の回りで起きていますが、それらを認識する上で、偏らない、まんべんなく見る、俯瞰する、などの姿勢が、現代人に求められているのだと思います。

日本のみならず、「多様性」を追求する、こうした改革が世界各地で進んでいることは、世の中が「複雑化」していることの証と言えるでしょう。SDGsの例を示した前回も述べたとおり、単純さを旨とする過去の常識で、今の相場を分析することは、困難でしょう。

図:日本における「大学入試改革」をめぐる動き


出所:文部科学省の資料より筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。