[Vol.2077] プラチナは積立投資でこそ、真価を発揮する

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。56.97ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。4,271.86ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。26年01月限は14,810元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。25年12月限は435.8元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで2655.21ドル(前日比61.41ドル拡大)、円建てで13,504円(前日比14円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(10月20日 18時23分時点 6番限)
20,920円/g
白金 7,416円/g
ゴム 305.5円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 1,799円/mmBtu(25年8月限 5月27日15時39分時点)

●NYプラチナ先物 月足 単位:ドル/トロイオンス
NYプラチナ先物 月足 単位:ドル/トロイオンス
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「プラチナは積立投資でこそ、真価を発揮する」
前回は、「米国でうごめく新しい有事とは?」として、トランプ口座の概要とメリットおよび想定されるデメリットを、確認しました。

今回は、「プラチナは積立投資でこそ、真価を発揮する」として、ドル建てプラチナ、金(ゴールド)価格推移(月足終値)を、確認します。

国内外のプラチナ価格が急上昇しています。国内の小売価格はおよそ45年ぶり、先物価格は市場最高値、海外の先物価格は12年ぶりの水準です。急上昇の背景を確認し、今後の動向を展望します。また、プラチナの魅力は積立投資において増す可能性があることについて、述べます。

以下のグラフの通り、プラチナ価格は短期視点で急反発しています。この短期視点の反発の要因は、三つあると考えられます。

一つ目は、貴金属の最主要銘柄である金(ゴールド)の価格が歴史的な水準での高止まりしていること、二つ目は、米国の利下げ観測が強まったり、関税交渉における楽観論が浮上したりして、主要国の景気回復期待が高まり、産業用の需要の割合が高いプラチナの需要が増加する観測が浮上していることです。

三つ目は、2015年9月にフォルクスワーゲン問題が発覚した際に急減すると言われた自動車排ガス浄化装置向けのプラチナの需要が回復したり、主要な鉱山生産国からの生産量が減少したりして、需給バランスが引き締まりやすくなっていることです。

とはいえ、長期視点でみると、別の見方ができます。フォルクスワーゲン問題発覚以降、プラチナ相場は長期視点の低迷を強いられてきました。その結果、足元の急反発を考慮しても、現在の水準は金(ゴールド)の5分の2程度、そしてプラチナ自身の高値(2008年5月)の10分の7程度です。

長期視点では、プラチナには金(ゴールド)に対する割安感、自分自身の高値に対する割安感があると言えます。短期視点では高いと報じられているものの、長期視点では真逆の顔を持っていると言えます。

用語解説
・プラチナの需要:全需要のおよそ67.5%が産業用(自動車排ガス浄化装置向け37.8%+その他産業用29.7%)。宝飾用は24.0%、投資用は8.5%(2024年、WPICのデータより)

・自動車排ガス浄化装置:プラチナなどが持つ触媒作用を利用し、エンジンから排出される排気ガスに含まれている有害物質を水や二酸化炭素、比較的毒性の少ない物質に変える装置。内燃機関(エンジン)と消音機(マフラー)の間に設置される。

・触媒作用:一定の条件下で自分の性質を変えずに相手の性質を変える作用。

図:ドル建てプラチナ、金(ゴールド)価格推移(月足終値) 単位:ドル/トロイオンス
図:ドル建てプラチナ、金(ゴールド)価格推移(月足終値) 単位:ドル/トロイオンス
出所:世界銀行のデータより筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。超就職氷河期の2000年に、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして活動を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。「過去の常識にとらわれない解説」をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌、インターネットなどで幅広く、情報発信を行っている。大学生と高校生の娘とのコミュニケーションの一部を、活動の幅を広げる要素として認識。キャリア形成のための、学びの場の模索も欠かさない。