週刊石油展望

著者:三浦 良平
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 先週末のWTI原油は前週比3.70ドル高の72.34ドル、ブレント原油は3.40ドル高の75.46ドルとなった。

 前週末の海外原油は上昇。ハリケーン「アイダ」による被害で引き続き米国の海上油田の生産が停止しており、日量140万B程度が失われていることから供給不足が意識され堅調な推移となった。また、バイデン米大統領と中国の習近平国家主席が電話会談を行ったとの報から両国の関係改善期待が高まり株高推移したことも好感された模様。

 先週は基調的には上昇をキープする格好で、週明け13日は新たに熱帯性暴風雨が米メキシコ湾に迫っており、石油生産の回復がさらに遅れるとの警戒感が強まったことから堅調な展開となったものの、翌14日は引き続きハリケーン被害への懸念から底堅い推移だったものの、米メキシコ湾岸沿いで発生した熱帯性暴風雨が熱帯性低気圧に勢力を弱めたことや株式相場の急落が嫌気されると戻りは売られ往って来いで一旦足踏みとなる。15日、EIA統計において原油在庫が予想以上に減少(予想:390万B減少、結果:640万減少)していたことが示されたほか、ドル安進行したことなどが支えとなり値位置を切り上げる。16日は、メキシコ湾の石油施設が復旧に向かっており、来週には稼働再開が本格化するとみられていることが重しとなり、またドル高進行したことも嫌気され高値からは値を落としたものの、前日比ではほぼ変わらずをキープするカタチで引けている。



 チャート面では、WTIで見ると70ドルの節目がしばらく上値抵抗となっていたが、13日にそれを上抜くと上げ足を加速し、15日には72ドル台の半ばまで上昇、その後も72ドル台を維持しており、以前(6月末から7月初めにかけて)2回跳ね返された75ドルが目先の上値目標となるだろう。ファンダメンタル面では、米メキシコ湾の海上油田原油生産は未だ完全普及には至らず、30%弱停止している。復旧は進んでいるものの、米国内の需給をタイト化させる要因となっており、原油在庫は2年振りの低水準を示している。米株式が高値から反落してはいるものの、前述の材料から原油は大きくは売られにくく、基調的には緩やかな上昇トレンドがイメージされるところだ。

 

 

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。