[Vol.1997] 急反発する原油相場

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反発。中東情勢の緊迫化などで。74.06ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。3,381.90ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。25年09月限は13,950元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。25年08月限は574.5元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで2092.1ドル(前日比29.10ドル縮小)、円建てで10,328円(前日比53円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(6月23日 18時16分時点 6番限)
16,108円/g
白金 5,780円/g
ゴム 301.4円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 2,124円/mmBtu(25年9月限 6月23日17時58分時点)

●NY原油先物 日足  単位:ドル/バレル
NY原油先物 日足  単位:ドル/バレル
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「急反発する原油相場」
前回は、「長期視点では、金・原油ともに高止まりか」として、2010年ごろ以降の世界分断と高インフレ(長期視点)の背景を確認しました。

今回は、「急反発する原油相場」として、NY原油先物(期近)日足終値を確認します。

中東情勢が一段と緊迫化しています。イスラエルとイランが交戦中にある中、米国がイランの核施設を攻撃しました。そしてイランは即座に、同国の国会で「ホルムズ海峡封鎖」を承認しました。今回から数回にわたり、直近の原油相場の値動きと中東情勢、ホルムズ海峡の概要などに触れ、最後に今後の原油相場を展望します。

足元の原油相場の反発は、中東情勢の悪化→原油の主要生産地域における供給減少懸念浮上、および1970年代後半の急騰劇を想起→世界全体の原油需給がひっ迫することへの強い懸念浮上、という連想により起きていると、考えられます。

以下のグラフのとおり、2025年の前半はトランプ関税ショックやOPECプラス※の自主減産の縮小(限定的な増産)の影響で反落する場面がありましたが、6月の半ば以降、中東情勢の緊迫化を受けて急反発しています。

※OPECプラスとは、以下のとおりOPEC(石油輸出国機構)に加盟する12カ国と、非加盟の11カ国の合計23カ国で構成される産油国のグループ。原油市場への影響力の大きさの目安になり得る「原油生産シェア」は、23カ国合計でおよそ58%(2025年4月時点)。

図:NY原油先物(期近)日足終値 単位:ドル/バレル
図:NY原油先物(期近)日足終値 単位:ドル/バレル
出所:Investing.comのデータをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。超就職氷河期の2000年に、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして活動を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。「過去の常識にとらわれない解説」をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌、インターネットなどで幅広く、情報発信を行っている。大学生と高校生の娘とのコミュニケーションの一部を、活動の幅を広げる要素として認識。キャリア形成のための、学びの場の模索も欠かさない。