週刊石油展望

　先週末のWTI原油は前週比3.50ドル高の75.00ドル、ブレント原油は3.98ドル高の76.83ドルとなった。

　前週末の海外原油は急騰。イスラエルのイラン空爆とイランの反撃により中東情勢の緊張が高まったことが相場を押し上げる展開となった。

　先週は中東の地政学リスクが引き続き支えとなり、高値圏での推移となった。週明け16日は反落。週末にイランとイスラエルが互いに攻撃を実施したことで上昇していたものの、イランが対立を終わらせることを模索していると伝わったことから地政学リスクが後退する格好となった。17日は反発。イランとイスラエルの対立収束が見通せないことが再び相場を押し上げる格好となった。また、米トランプ大統領がG7を1日早く切り上げて帰国し、米国がイスラエルのイラン攻撃に参加するとの見方が強まったことも支援要因となった模様。18日は続伸。米国のイランへの軍事介入の可能性が引き続き支えとなったほか、EIA統計で原油在庫の減少幅が予想を大幅に超えたことが相場を押し上げた。ただ、イランがホワイトハウス訪問を示唆し、核交渉に前向きと受け止められたことは圧迫要因となった。19日は続伸。米国市場は奴隷解放記念日により休場。イランとイスラエルの交戦がエスカレートしていることから買いが先行したものの、米トランプ大統領が米国の参戦について2週間以内に決断すると明らかにし、決断を先送りにしたことから急落する展開となった。


出所：みんかぶ先物WTI原油先物複合チャート

　今週の原油相場は引き続き中東情勢が支えとなり高値圏での推移となるか。イスラエルがイランの稼働していない原子炉を空爆、イランも報復攻撃を続けており、事態が鎮静化する見通しが立っていない状況である。週末には米国によるイラン攻撃参戦により週明けは大幅上昇でのスタートとなったが、今後もトランプ大統領の決断に左右される展開となるだろう。