[Vol.1128] 金、かろうじて上昇。ドル高が重石に

著者:吉田 哲
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原油反落。米国の主要株価指数の下落などで。68.70ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。1,795.30ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。22年05月限は14,935元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。22年01月限は447.8元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで846.8ドル(前日比26.1ドル拡大)、円建てで3,042円(前日比54円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(11月30日 17時29分頃 6番限)
6,517円/g 白金 3,475円/g
ゴム 243.0円/kg とうもろこし 37,900円/t

●NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「金、かろうじて上昇。ドル高が重石に」

前回は、「原油10%以上下落。変異種の感染拡大などで」として、先週金曜日に発生した、原油相場と米国の主要株価指数の急落について、書きました。

今回は、「金、かろうじて上昇。ドル高が重石に」として、各種銘柄の先月末と先週末の騰落状況を確認した上で、金(ゴールド)価格がおおむね横ばいだった背景について、筆者の考えを述べます。

NYダウ、ドイツDAXといった、欧米の主要株価指数は下落しました。一方、ドル指数は上昇しました。金(ゴールド)相場がほぼ横ばいだったのは、「株安」起因の上昇圧力と、「ドル高」起因の下落圧力、その他、諸方面からの上昇・下落、両方の圧力がかかったためだと、考えられます。

足元の金(ゴールド)市場の材料をまとめると、下図のようになります。

短中期的なテーマと考える「有事のムード」「代替資産」「代替通貨」、それぞれから、金(ゴールド)相場に圧力がかかっていることがわかります。

上昇圧力は、「株安」だけでなく、「各種リスク拡大」、「インフレ懸念」、そして「ビットコイン(無国籍資産という点で金(ゴールド)と競合)の下落」から、かかっているとみられます。足元の「各種リスク」については、[Vol.1124]で述べていますので、ご参照ください。

一方、下落圧力は、「ドル高(ドルが買われる、ユーロが売られる、ともに)」、「テーパリング」「利上げ観測」から、かかっているとみられます。

当該期間、金(ゴールド)相場が、ほぼ横ばいだったのは、こうした上昇・下落、両方の圧力が相殺されたためだったと、言えるでしょう。現代の金相場の動向を説明する際、各種材料起因の影響力を足し引きすることは、必須スキルだと言えます。

図:足元の、金市場における6つのテーマ


出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。