[Vol.1124] リスク要因「脱炭素」「枠組み乱立」「ボイコット」

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。78.72ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。1,792.90ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。22年05月限は15,685元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。22年01月限は513.4元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで813.6ドル(前日比6ドル縮小)、円建てで2,988円(前日比2円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(11月24日 16時43分頃 6番限)
6,617円/g 白金 3,629円/g
ゴム 248.7円/kg とうもろこし 38,590円/t

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「リスク要因「脱炭素」「枠組み乱立」「ボイコット」」

前回は、「『ドル高・金高』が目立っている」として、先月末から先週末にかけて発生した「ドル高・金(ゴールド)高」ついて、筆者の考えを述べました。

今回は、「リスク要因「脱炭素」「枠組み乱立」「ボイコット」」として、足元、世界に存在する各種リスクについて、筆者の考えを述べます。

[Vol.1121]で、「ドルキャリー取引の巻き戻し」は、リスクの一つだと述べました。「ドルキャリー取引の巻き戻し」は、新興国、ひいては世界全体の景気回復を鈍化させる、直接的な景気悪化要素です。

今回述べるのは、主に、間接的な景気悪化要素です。主張、思想、パワーバランスなどの側面から、世界規模の不和が生まれ、その結果、世界景気が悪化するイメージです。

黎明期や過渡期という言葉がふさわしい“現在の”「脱炭素」は、さまざまなリスクをもたらす要因であることは、[Vol.1107]で述べました。「脱炭素」以外では、「枠組み乱立」「ボイコット」「新型コロナ」などが、範囲・インパクトが大きいリスクと言えるでしょう。

世界規模のリスクが複数存在するため、金(ゴールド)の「資金の逃避先」としての魅力があせることは、当面の間、考えにくいと筆者はみています。

「各種リスク」と「インフレ懸念」は、しばらく(例えば数カ月程度)、ドル高起因の下落圧力を相殺し続け、時折、金相場をさらなる高みに導くきっかけになると、筆者は考えています。

図:「脱炭素」をはじめとした、世界に漂う「短中期的リスク」


出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。