[Vol.1144] 2022年の金と銀の個別材料を確認

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反発。米主要株価指数の反発などで。73.72ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。1,810.10ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。22年05月限は14,500元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。22年02月限は477.5元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで837.35ドル(前日比8.8ドル縮小)、円建てで3,062円(新甫)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(12月24日 12時01分頃 6番限)
6,642円/g 白金 3,580円/g
ゴム 225.8円/kg とうもろこし 40,510円/t

●NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「2022年の金と銀の個別材料を確認」

前回は、「2022年の銀(シルバー)の予想レンジ」として、金と同じ考え方をもとに、2022年の銀相場の予想レンジを述べました。

今回は、「2022年の金と銀の個別材料を確認」として、2022年に発生することが想定される、金と銀の個別の材料について、述べます。

前回までの数回で、2022年は、2021年と同様の事象が起き、「脱炭素」がコモディティ相場を幅広く底上げする可能性があることを、述べました。

そしてこの点をもとに、金(ゴールド)と銀相場の予想レンジを示しました。

今回は、前回までのような「社会全体」の流れをきっかけとした変動ではなく、「個別」の変動要因に、注目します。

以下の図で示しているように、金も銀も、上昇要因と下落要因の両方が存在します。

前回までの数回で述べたとおり、2022年は(年平均ベースで)上昇することを想定しているため、多くの時間帯で、上昇要因起因の圧力が、下落要因起因の圧力を相殺すると、考えられます。(仮に価格が上昇したとしても、下落要因がなくなるわけではありません)

各種リスク、インフレ懸念、暗号資産への懸念起因の上昇圧力が、利上げとテーパリング起因の下落圧力を相殺することが、想定されます。

想定される各種リスクは、2022年は、新型コロナの変異株発生・ロックダウン開始、米中間選挙で波乱、米債務問題噴出、中東情勢悪化(イラン情勢など)、人権・格差問題拡大、ドルキャリー取引目立つ、などです。

こうしたリスクが顕在化した時、資金の逃避先需要が増大し、金(ゴールド)が買われる可能性が高まると、筆者は考えています。

図:想定される各銘柄の2022年の個別材料


出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。