[Vol.1186] 「戦争」は、これまで主に中東で起きた

著者:吉田 哲
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原油反発。ウクライナ情勢の悪化などで。97.76ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。1,913.95ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。22年05月限は13,725元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。22年04月限は622.8元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで858.8ドル(前日比3.2ドル縮小)、円建てで3,195円(前日比14円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(3月1日 17時34分頃 6番限)
7,041円/g 白金 3,846円/g ゴム-円(まだ出来ず) とうもろこし 44,690円/t

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「「戦争」は、これまで主に中東で起きた」

前回は、「「戦争」に格上げされたロシアによる軍事侵攻」として、ドイツのショルツ首相の発言をもとに、ロシアによるウクライナ侵攻が持つ意味について、筆者の意見を書きました。

今回は、「「戦争」は、これまで主に中東で起きた」として、金(ゴールド)相場の変動相場移行後の、多数の国が関わった戦争について、確認します。

以下は、金(ゴールド)相場が変動相場に移行した1973年以降の、日本語で「戦争」の言葉が付いた、複数の国家間が関わる主要な武力衝突が「勃発」したタイミングです。

イスラエルに奪われた領土を取り返したい、国境付近にある石油の輸出に有利な土地を獲得したい。第四次中東戦争とイラン・イラク戦争が勃発した主な要因は、領土をめぐる問題でした。

不法にクウェートに侵攻したイラクを封じ込める、不法に大量破壊兵器を所持している可能性があるイラクから兵器を除去する。湾岸戦争とイラク戦争が勃発した主な要因は、米国などが中心となり、中東の治安を維持・回復することでした。

世界規模の「戦争」は、世界中に強い不安を拡散させました。また、原油の主要生産地である中東(付近)で戦争が勃発したことは、原油の供給不安をあおりました。

これらの「戦争」は、資金の逃避先需要を増やす、金(ゴールド)の価格上昇要因、原油の供給減少懸念を強める、原油価格の上昇要因だったわけです。次回以降、過去の「戦争」と金(ゴールド)・原油相場の関係を確認します。

図:金(ゴールド)相場の変動相場移行後に勃発した主な戦争


出所:各種情報源をもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。