[Vol.1187] 第四次中東戦争とイラン・イラク戦争前後の値動き

著者:吉田 哲
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原油反発。ウクライナ情勢の悪化などで。109.30ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。1,939.85ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。22年05月限は13,940元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。22年04月限は663.9元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで878.65ドル(前日比13.25ドル縮小)、円建てで3,293円(前日比8円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(3月2日 17時49分頃 6番限)
7,155円/g 白金 3,862円/g
ゴム 260.9円/kg とうもろこし 45,260円/t

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「第四次中東戦争とイラン・イラク戦争前後の値動き」

前回は、「「戦争」は、これまで主に中東で起きた」として、金(ゴールド)相場の変動相場移行後の、多数の国が関わった戦争について、確認しました。

今回は、「第四次中東戦争とイラン・イラク戦争前後の値動き」として、過去の2つの戦争が「勃発」した前後1年間の、金と(ゴールド)と原油の価格推移を確認します。

前回述べたとおり、世界規模の「戦争」は、金(ゴールド)と原油の価格を上昇させる要因と目されたわけですが、実際のところ、価格はどのように動いたのでしょうか。

第四次中東戦争が勃発した日(1973年10月。エジプトとシリアがイスラエルに対して攻撃を開始した日)の前後合わせた1年間において、金(ゴールド)と原油の価格は、同戦争の「勃発」後に、大きく上昇しました。

この出来事は、世の中に「中東情勢の混迷=金・原油相場上昇」という印象を強烈に植え付けました。「有事の金」という言葉が広く知られるようになったきっかけだと、考えられます。

また、以下は、イラン・イラク戦争が勃発した日(1980年9月。イラク軍が革命で混乱するイランに攻撃をした日)の前後合わせて1年間の、金(ゴールド)と原油の価格推移です。

イラン・イラク戦争の勃発を機に、金(ゴールド)価格が大きく下落、原油価格が大きく上昇しました。金は「戦争が勃発するかもしれない」という「予兆」の段階で上昇し、勃発(攻撃開始)を機に下落しました。

図:イラン・イラク戦争勃発前後の金(ゴールド)と原油相場の推移


出所:世界銀行のデータをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。