[Vol.1277] 共和党支持者を取り込むべく物価高鎮静化が急務

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。96.97ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。1,722.75ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。22年09月限は12,190元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。22年08月限は658.5元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで896.75ドル(前日比0.05ドル拡大)、円建てで3,946円(前日比11円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(7月13日 16時30分頃 6番限)
7,572円/g
白金 3,626円/g
ゴム(まだ出来ず)
とうもろこし 47,060円/t
LNG 4,150.0円/mmBtu(22年6月限 4月7日午前8時59分時点)

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル
NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「共和党支持者を取り込むべく物価高鎮静化が急務」

前回は、「原油は「ウクライナバンド」に支えられ高止まり」として、ウクライナ危機発生後の原油相場の推移を確認しました。

今回は、「共和党支持者を取り込むべく物価高鎮静化が急務」として、米国国民の関心事を、確認します。

足元、高インフレは米国国民の意識に大きな影響を与えています。以下のとおり、多くの米国国民の意識は「インフレ(物価高)」に向いています。

米キニピアック大学の世論調査によれば、「今、米国が直面している喫緊の課題は何ですか?」という質問に対し、全体の34%が「インフレ」と回答しました(6月8日公表分)。新型コロナよりもウクライナ危機よりも高い値です。

ウクライナ危機が発生して1カ月が経過した3月以降、エネルギーや穀物の価格が歴史的な水準で高止まりし、身近な品々の価格が上がり始めました。こうした流れを受け、徐々に「インフレ」と回答した人の割合が高くなってきています。

「インフレ」と回答した人の属性を確認すると、「共和党(ドナルド・トランプ前大統領推薦者所属)支持者」のおよそ半分が、「インフレ」を課題だと認識しています。この「およそ半分」は、「民主党(ジョー・バイデン現大統領所属)支持者」よりも、大きい値です(民主党支持者では、15%程度がインフレを課題だと認識している)。

今年11月8日に行われる中間選挙(4年ごとの米大統領選挙の間の年に行われる。上院議員の3分の1と下院議員の全議席が改選。複数の州で州知事選も行われる)まで、約4カ月となりました。

報道では、5月から本格化した予備選(本選の候補者選び)では、各地でトランプ前大統領が推薦する共和党候補が優勢、とされています。

バイデン大統領が、良い形で中間選挙を乗り越えるためには、民主党支持者だけでなく、共和党支持者の一部も取り込む必要があります。上記の通り、その共和党支持者の半分弱は、「インフレ」を喫緊の課題だと認識しています。

「ねじれ」(上下院どちらかで、与党の議席数を野党の議席数が上回る状態)を避け、2024年までの残りの任期の政権運営をスムーズにするため、「インフレ退治」は、バイデン氏の喫緊の課題といえます。

図:「今日、米国が直面している喫緊の課題は何ですか?」の回答(米国の世論調査)単位:%
図:「今日、米国が直面している喫緊の課題は何ですか?」の回答(米国の世論調査)単位:%

出所:米キニピアック大学のデータをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。