[Vol.1304] 米国のシェールガス・オイルの事情を確認

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。91.58ドル/バレル近辺で推移。

金反発。米10年債利回りの反落などで。1,754.50ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。23年01月限は12,870元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。22年10月限は712.8元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで883.45ドル(前日比3.05ドル拡大)、円建てで3,832円(前日比23円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(8月23日 17時16分頃 6番限)
7,649円/g
白金 3,817円/g
ゴム 228.2円/kg
とうもろこし 47,490円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 8月5日午前10時35分時点)

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「米国のシェールガス・オイルの事情を確認」

前回は、「バフェットは半年で10回以上、石油株を買った」として、オクシデンタル・ペトロリアム株と米国天然ガス先物価格の推移を確認しました。

今回は、「米国のシェールガス・オイルの事情を確認」として、米国のシェール層と生産主要地区の現状と、米国の石油・天然ガス会社であるオクシデンタル・ペトロリアム社の強みを確認します。

以下は、米国国内のシェール層の分布と主要な生産地域を示しています。シェール層とは、天然ガスや原油を含んだ頁岩(けつがん)層のことです。米国で2010年ごろからはじまった「シェール革命」の舞台です。

探索や掘削などの技術が急速に向上したことで、シェール層から天然ガスや原油を抽出することが可能になりました。シェール層は、主に米国のロッキー山脈以東に、幅広く分布しています。

EIA(米エネルギー情報局、米国の政府機関)は、米国全土に7つ、シェールの主要地区があるとしています。中でも生産量が多いのが、米国東部のペンシルベニア州を中心にした「アパラチア地区』と、南部のテキサス州を中心とした『パーミアン地区」です。(これら2つの地区で、シェール主要地区由来の天然ガスと原油、それぞれおよそ60%を生産)。

オクシ社の開示資料によれば、同社はパーミアン地区でトップクラスの油田を有しています。また、同社は同地区での操業にあたり、生産時に放出される二酸化炭素の回収・貯留に力を入れています。

オクシ社は、世界中で幅広くビジネスを行う巨大な石油企業(メジャー)ほどの規模はないものの、米国国内のパーミアン地区を中心に、コンパクトにスマートに、ビジネスを行っている印象があります。

また、同社の海外拠点は、オマーン、UAE(アラブ首長国連邦)、アルジェリアにありますが、メジャーと異なり、拠点数が少なく、かつ政治的な影響を受けにくい国で操業をしていると言えます。(メジャーのエクソン、シェブロン、BPは、ウクライナ危機勃発がきっかけで、ロシアからのビジネス撤退を表明した)

効率が良い地域で生産をしている、環境配慮を具体的に実践している、大きすぎない、海外の生産地の政治的影響を受けにくい、などはオクシ社の強みと言えるでしょう。

図:米国のシェール層と生産主要地区


出所:EIA(米エネルギー情報局)の資料・データをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。