先物取引が祝日も取引可能になる!
2022年9月23日(秋分の日)より、日経225先物や日経225オプション、金先物といった先物・オプション取引が祝日でも取引できるようになります。祝日に取引が可能になると、取引機会が増えてトレードで利益を出すチャンスが増える他、ゴールデンウイークのように国内取引所が連休で長期休場となる間に相場を動かすイベントが発生した場合に、国内投資家がリスクにさらされる可能性は少なくなります。
日本と海外とでは祝日日数はどれぐらい違うの?
例えば、デリバティブ取引を扱っている大阪取引所と東京商品取引所では土日と祝日、年末年始の12月31日~1月3日を休業日としています。
2021年度で見ると、大阪取引所と東京商品取引所の土日以外の休業日は19日。ドイツの6日や、アメリカやイギリスの10日などと比べても多いことがわかります。
取引所の休みが多いということは、休日期間中にイベントや非常事態が発生して相場が荒れたとしても対処ができないことになります。そのため、休みが多い取引所は、グローバルな投資家から見ればリスクが高い市場とみなされ、敬遠されてしまうでしょう。世界から選ばれる市場になるためには、祝日の多さは解消しなければならない問題だったのです。
祝日に先物・オプション取引ができるメリットは本当にあるの?
祝日に先物取引ができることで、以下のようなメリットが考えられます。
- 利確/損切りの機会損失を防ぐことができる
- ポジションを仕込める機会が増える
- 海外のマーケット動向に合わせて取引が可能
特に、利確/損切りの機会が増えると、売買できる機会も自ずと増えます。そのため、運用の成果や実績などパフォーマンスにも大きく影響があるのです。
投資家へのメリット(1)
利確/損切りの機会損失を防ぐことができる
連休中に先物取引やオプション取引で利益・損失が出ていると、利確、及び損切りができません。特にオプション取引は、原資産価格や満期までの時間、原資産の時価と権利行使価格との乖離など価格変動要因が多いため、海外情勢を加味して機敏に売買できることが重要です。
想定状況:祝日前に先物取引で買いポジションを仕込んでいたが、予想に反する値動きをしているとき。
祝日取引ができない場合
損切りができず、祝日明けまで身動きがとれない、または、利益がでても利益確定ができない。オプション取引の場合は、取引できずに日数が経過するとオプションの価格の値下がり(タイムディケイ)によって、コールの価格上昇を打ち消してしまうことがある。
祝日取引ができる場合
損切りをして損失を確定させつつ、ポジションを取り直して利益も狙える。利益確定をして、次のポジションを取るチャンスをゆっくり考えられる。
オプション取引の買いの場合は、連休などでタイムディケイ(時間の経過によるオプション価格の値下がり)の影響を受ける前に利確することができる。
投資家へのメリット(2)
ポジションを仕込める機会が増える
オプション取引では、相場の上下、またどれくらいの値幅で動くかによって取るべき戦略が変わってきます。祝日も取引ができれば、ギリギリまで状況を確認して最適なポジションを仕込むことが可能です。
想定状況:祝日を挟んだ数日後に大きく相場が変動すると思うので、ロング・ストラングル戦略で売買を行った。
祝日取引ができない場合
祝日に市場動向が変化して、あまり相場が大きく動かないことがわかったが、戦略の切り替えができない。
祝日取引ができる場合
祝日に相場があまり大きく動かないことがわかったので、ショート・ストラングル戦略に切り替えた。
投資家へのメリット(3)
海外のマーケット動向に合わせて取引可能
GW中の雇用統計の発表など、日本の連休中に海外の重要指標の発表があった場合、祝日でも取引ができれば対処ができます。
想定状況:日本の祝日に海外で大きなイベントや重要指標の発表がある。
祝日取引ができない場合
祝日に取引ができないとリスクが高いので、ポジションを持てず投資の機会損失が発生する。
祝日取引ができる場合
イベントの結果や数値を見て、先物取引やオプション取引など相場変動に応じた投資戦略を立てられる。
先物取引の取引経験がない人にもメリットがある
先物取引は、現物株やインデックス型ETFの値動きに対するリスクヘッジにも利用可能です。
例えば祝日中に重要指標が発表され、マーケット全体が値下がりすると予想したとき、株価指数先物取引で必要枚数を売建てておきます。実際にマーケットが下落をすると、現物株では損失が発生する可能性がありますが、その場合は売建てておいた株価指数先物取引では利益が発生するでしょう。この株価指数先物取引の利益と現物株の損失を合計すると、損失の相殺、あるいは利益に転じることができるのです。
祝日取引の活用シーンを「3パターン」紹介!
ここからは、先物取引が祝日も取引可能になったときの活用シーンを3つ紹介します。
パターン(1)
値幅が取れていたら利確!損失が膨らんでいたら損切り!
取引で利益がでていて、祝日で利益のピークだと感じたらその日で利確してください。逆に、予想に反して損失が発生していたら、祝日でもすぐに損切りをして、次のトレードに備えます。重要指標が発表されても適切な対処をして、翌日に持ち越さずにゆったりした祝日を過ごしましょう。
パターン(2)
時間をたっぷり使って「じっくり分析トレード」する
市場の取引時間はこれまでは平日の限られた時間帯のみだったので、普段働いている人は、仕事の休憩時間や、仕事から帰ってきてからトレードの分析をする必要がありました。慌ただしさのない、祝日に時間をたっぷり使った「じっくり分析トレード」をしましょう。
パターン(3)
祝日の値動きを参考に現物取引の戦略を練る
祝日の先物取引のチャートを休日にじっくり分析して、平日しか取引ができない現物取引の戦略を練ります。
祝日取引で勘違いしやすいポイントと注意点
先物・オプション取引が祝日に取引が可能になると言っても、すべての祝日が対象となるわけではありません。また、先物・オプション商品のなかでも対象外となる商品があるため、事前に「取引できる商品」、および「取引できる祝日」を確認しておきましょう。
すべての祝日が対象ではない
先物・オプション取引は、全ての祝日で取引可能になるわけではありません。また、土日は引き続き取引はお休みです。9月23日のスタート以降では、2023年の1月2日「年始休業日」と、同年の1月9日「成人の日」は祝日取引が不可となっています。
直近の対象祝日(2022年8月1日発表時点)
祝日取引の対象日 |
名称 |
祝日取引 |
2022年9月23日 |
(金) |
秋分の日 |
○ |
2022年10月10日 |
(月) |
スポーツの日 |
○ |
2022年11月3日 |
(木) |
文化の日 |
○ |
2022年11月23日 |
(水) |
勤労感謝の日 |
○ |
2023年1月2日 |
(月) |
年始休業日 |
✖︎ |
2023年1月3日 |
(火) |
年始休業日 |
○ |
2023年1月9日 |
(月) |
成人の日 |
✖︎ |
2023年2月23日 |
(木) |
天皇誕生日 |
○ |
2023年3月21日 |
(火) |
春分の日 |
○ |
2023年5月3日 |
(水) |
憲法記念日 |
○ |
2023年5月4日 |
(木) |
みどりの日 |
○ |
2023年5月5日 |
(金) |
こどもの日 |
○ |
一部取引出来ない商品がある
指数先物・オプション、商品先物・オプションは祝日取引可能になります。個別株を対象とした有価証券オプション取引、及び、国債先物・オプションは祝日取引の対象外です。
祝日取引の対象商品 |
祝日取引の対象外商品 |
指数先物取引 |
国債証券先物取引 |
指数オプション取引 |
国債証券先物オプション取引 |
商品先物取引 |
有価証券オプション取引 |
商品先物オプション取引 |
|
公表数値(表示レート)が営業日と祝日とで異なる
祝日取引における呼値の制限値幅に係る基準値段は、祝日前営業日のナイト・セッションにおける基準値段と同一とし、祝日取引中に基準値段の更新はありません。また、祝日翌営業日のデイ・セッションにおける基準値段は、祝日前営業日のナイト・セッションにおける基準価格を引き継ぎます。
祝日取引の制度詳細
祝日取引制度のその他詳細についても紹介します。
取引時間
デイ・セッション |
8:45~15:15 |
ナイト・セッション |
16:30~翌6:00 |
取引日
祝日前のナイト・セッション、祝日後のデイ・セッションいずれも祝日取引日と同じ取引日として扱います。以下の表の場合、取引日Yは同一の取引日ということになります。
サーキット・ブレーカー
サーキット・ブレーカーは、平日と同様、祝日取引中も発動します。また、祝日中の制限値幅の拡大は、翌営業日のデイ・セッションまで継続します。
即時約定可能値幅(DCB)
即時約定可能値幅は、平日よりも中断時間が長くなります。
商品 |
取引中断時間 |
指数先物取引 |
平日30秒 / 祝日60秒 |
商品先物取引 |
商品先物オプション取引 |
指数オプション取引 |
平日15秒 / 祝日30秒 |
マーケットメイカー制度
マーケットメイカー制度は流動性向上のため、平日と同様に対象となります。ただし、相場状況によっては気配提示が行われないことがあります。
大阪取引所・東京商品取引所の祝日取引制度の概要については、JPXが提供する以下の動画も参考にしてみてください。
https://youtu.be/XnfaW-9lyAI
国内市場では取引時間延長が進む
祝日でも先物・オプション取引ができるようになる他、2024年中に東京証券取引所の取引時間が現行の15:00から15:30に延長されます。取引時間の変更は70年ぶりです。現状は欧米に比べて取引時間が短く、今回の取引時間の延長によって投資家の利便性が向上し、投資機会が拡大していくことが期待されています。
取引できる会社
2022年9月23日から祝日取引の取り扱いを開始する会社例は以下の通りです。
(※順不同)
キャンペーン情報紹介
祝日取引解禁に伴い、キャンペーンを実施する会社も多いようです。せっかくなので、キャンペーンをチェックしてお得に取引にチャレンジしてみるのも良いでしょう。各社のキャンペーンは、MINKABU(先物)のお知らせ内「キャンペーン」に掲載しているのでぜひチェックしてみてください。
まとめ
2022年9月23日から先物・オプション取引が祝日でもできるようになります。大阪取引所などは欧米の取引所に比べて祝日が多く、祝日中に相場の変動を引き起こすイベントなどが起こると対処ができないため、投資家からみるとリスクが高いという側面がありました。祝日でも取引ができるようになることで、利確のチャンスや損切りのタイミングを逃さないなどのメリットが生まれます。
先物・オプション取引はハードルが高いという方は、先物・オプション取引を始める前に今取引している商品で利益をあげられるようにしましょう。徐々に現物取引といった基本的な投資に慣れたところで、先物・オプションを取り入れてみると良いでしょう。