週刊石油展望

著者:三浦 良平
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 先週末のWTI原油は前週比2.06ドル高の80.76ドル、ブレント原油は2.13ドル高の86.39ドルとなった。

 前週末の海外原油は続伸。引き続き米CPIの鈍化を受けてドル安に振れたことが相場を押し上げたことに加え、中国の12月原油輸入量が前月比+4.2%の日量1130万Bとなったと発表されたことも支援要因となった。

 先週はドル安が支えとなるなか、低調な米経済指標が上値を抑える展開となった。週明け16日は小幅反落。米国市場はキング牧師誕生日により休場となったが、中国の需要回復期待が支えとなり、高値圏を維持した。17日は反発。中国GDPの伸び率が前年比3.0%と減速したものの市場予想ほど弱くなったとの見方や、春節による燃料需要拡大への期待が相場を押し上げた。またOPEC月報で、中国の2023年の石油需要が日量51万B増加するととの見通しが示されたことも材料視された。18日は反落。米12月鉱工業生産指数や小売売上高が2ヶ月連続で前月比マイナスとなったことにより、景気悪化懸念が相場を圧迫した。さらにセントルイス連銀総裁やクリーブランド連銀総裁が、インフレ抑制のためには5%超への政策金利の引き上げが必要との認識を示したことも重しとなった。19日は反発。共同石油統計イニシアチブ(JODI)が発表した昨年11月の中国の石油需要が前月比で日量98.5万B増となっており、ゼロコロナ政策の終了でさらに回復が続くとの期待が相場を押し上げた。また中国国家衛生健康委員会の当局者が、コロナ重症者のピークが今月5日であったとの認識を示し、経済活動の再開が遅れるとの警戒感が後退したことも支援要因となった模様。

原油チャート

 今週の原油相場はWTIで再度80ドルを割れて上値重い推移となるか。引き続き中国の石油需要の増加期待は支えになると思われるが、米国の堅調な雇用情勢から利上げが長期化するとの見方が広がっている。また12月PPIや小売売上高などの経済指標が弱い内容となったことで景気悪化も意識されており、NYダウが下抜ける動きとなれば原油も大きく売られる可能性が高くなってくるだろう。テクニカル的には12月安値から下値を切り上げているが、80ドルを維持できなければ75ドルが次の目安になるか。

 

 

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。