[Vol.1455] 川はほぼ逆流せず。「上流」への意識は重要

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。81.09ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。2,042.05ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所) 清明節のため休場。

上海原油(上海国際能源取引中心) 清明節のため休場。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1009.85ドル(前日比0.65ドル拡大)、円建てで4,287円(前日比5円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(4月5日 16時47分頃 6番限)
8,545円/g
白金 4,258円/g
ゴム 211.0円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 8月5日午前10時35分時点)

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル
NY原油先物(期近) 日足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「川はほぼ逆流せず。『上流』への意識は重要」
前回は、「『コモディティ価格』に秘められた意味」として、「高リスク」時代を乗り切るために必要なこととコモディティ投資の関係について、筆者の考えを述べました。

今回は、「川はほぼ逆流せず。『上流』への意識は重要」として、コモディティ価格が「原因」であるときのイメージついて、述べます。

「コモディティ価格」には、三つの意味があります。(1)社会的事象に影響を与える「原因」(原油などのエネルギー価格が上昇し、各国の景気を冷やすなど)、(2)社会的事象から影響を受けた「結果」(経済が活発化して需要が増加し、エネルギーや金属、食料などの価格が上昇するなど)、そして(3)投資対象としての「機会」(関連する投資対象へのアクセス)です。

以下は、コモディティ価格が「原因」であるときのイメージです。コモディティ価格が「川上」にあり、「川中」に関係性を変化させる要素、そして「川下」に社会的事象があります。

コモディティ価格の変動が、各国の景気動向を動かしたり、各国の中央銀行の政策に影響を与えたり、生産国と消費国の政治的な関係に変化をもたらしたりします。

まさに今、わたしたちが直面しているリスクの一つ「インフレ」がこれに当てはまります。景気悪化が叫ばれる中でインフレが目立っているのは、コモディティ価格が上昇・高止まりしているためです(コストプッシュ型のインフレ。対義語はデマンドプル)。

「わたしたちを悩ませているインフレの元凶は、コモディティ価格が高いことだ」「コモディティ価格が下がれば、インフレは終わる」。「インフレ」めぐる思考は、非常にシンプルです。

図:コモディティ価格が「原因」であるときのイメージ
図:コモディティ価格が「原因」であるときのイメージ

出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。