[Vol.1502] 年後半に材料の構造的変化が起きる?

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反発。米主要株価指数の反発などで。70.09ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。1,964.65ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。23年09月限は12,085元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。23年07月限は524.4元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで984.75ドル(前日比8.05ドル拡大)、円建てで4,421円(前日比3円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(6月14日 17時49分時点 6番限)
8,761円/g
白金 4,340円/g
ゴム 209.2円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 8月5日午前10時35分時点)

●NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス
NY金先物(期近) 日足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「年後半に材料の構造的変化が起きる?」
前回は、「材料難ではなく『強弱拮抗』」として、最近のドル建て金(ゴールド)市場を取り巻く上昇・下落圧力(筆者イメージ)を確認しました。

今回は、「年後半に材料の構造的変化が起きる?」として、最近の金(ゴールド)市場を取り巻く七つのテーマについて、述べます。

前回述べた、上昇圧力と下落圧力が拮抗した状態はいつ解消するのでしょうか。何らかの変化が生じ、上昇圧力が相対的に大きくなれば、金(ゴールド)価格は上昇、下落圧力が相対的に大きくなれば価格は下落すると、考えられます。

以下は、これまでに挙げたテーマに加え、筆者が金(ゴールド)相場を分析する上で欠かせないと考えている七つのテーマ(円建ては「ドル/円の変動』を追加」)とそれらの足元の状況と、想定される年末時点での状態です。

足元、「有事ムード」、「中央銀行」「見えないリスク」は上昇圧力をかけ、「代替資産」「代替通貨」は下落圧力をかけ、それらが拮抗し、金(ゴールド)相場のさえない状態が続いていると、考えられます。

しかし、今年の年末にかけて、徐々に上昇圧力の方が下落圧力に比べて大きくなる形で拮抗状態が解消し、金(ゴールド)相場は今よりも高くなる可能性があると、筆者は考えています。このときの状態を図の右に示しました(筆者想定)。

「有事ムード」と「見えないリスク」起因の上昇圧力は継続、「代替通貨」起因の圧力は下落から上昇に転換、「中央銀行」起因の上昇圧力は大きさを増す、「代替資産」起因の下落圧力が低下する、という内容です。

「代替資産」起因の下落圧力がどの程度低下するかは、どの程度、株価(主に米国の主要株価指数)が上昇するかに左右されます。

次回以降、年末にかけて上昇圧力を増やす原動力となり得る「代替通貨(下落圧力から上昇圧力に転じる)」と「中央銀行(さらに上昇圧力が増す)」について書きます。

図:最近の金(ゴールド)市場を取り巻く七つのテーマ(円建ては「ドル/円の変動」を追加)
図:最近の金(ゴールド)市場を取り巻く七つのテーマ(円建ては「ドル/円の変動」を追加)
出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。