米シェール生産を過去最高にした立役者とは!?

著者:吉田 哲
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原油(WTI先物)反落。主要株価指数の反落などで。52.74ドル/バレル近辺で推移。

金反発。米10年債利回り低下などで。1,487.95ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。20年01月限は11,530元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。19年11月限は462.2元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで600.35ドル(前日比6.05ドル拡大)、円建てで2,077円(前日比17円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(10月16日 17時3分頃 先限)
 5,171円/g 白金 3,094円/g 原油 36,980円/kl
ゴム 162.7円/kg とうもろこし 24,340円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)
東京原油 1時間足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「米シェール生産を過去最高にした立役者とは!?」

前回は「サウジの9月の原油生産量を比較③」として、海外メディア2社、EIA、OPEC、IEAが公表したサウジの9月の原油生産量のデータを比較し、サウジドローン事件の同国の原油生産量および原油在庫への影響を推計しました。

今回は、昨晩、EIAが公表した米シェール主要地区に関するデータを確認します。新規1油井あたりの原油生産量についてです。

米シェール主要地区において、生産開始から数カ月間、1つの油井がどれだけ原油を生産しているのか、というデータです。

例えば、“稼働リグ”という井戸を掘る(原油を生産することではない)際に使用する掘削機の数が注目されることがありますが、この稼働リグ数や、それによって掘削された油田の数は“量”の話といえます。

それに対し、今回の新規1油井当たりの原油生産量は“質”にあたります。

原油生産量は、ざっくり言えば“量”と“質”の掛け算で求められますので、質は非常に重要な要素です。

次回以降書きますが、昨晩公表されたデータでは、米シェール主要地区の9月の原油生産量は合計で日量883万バレルと、統計史上最高となりました。

その増加の要因の一つに“質”の向上があげられます。

以下のグラフのとおり、EIAが提唱する米国内にある7つのシェール主要地区における、9月の新規1油井あたりの原油生産量の平均は日量783バレルでした。

この値は、統計史上最高となった2016年10月の日量787バレルに次ぐ量です。

この値は、2019年9月まで17カ月連続で上昇しており、EIAは来月には統計史上最高となる792バレルに達する見通しを示しています。

“量”に加え、“質”の向上が、米シェール主要地区の原油生産量の増加を支える、重要な要素であると筆者は考えています。

図:米シェール主要地区の新規1油井あたりの原油生産量(7地区平均)
単位:バレル/日量
米シェール主要地区の新規1油井あたりの原油生産量(7地区平均)

出所:EIA(米エネルギー省)のデータをもとに筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。