サウジの9月の原油生産量を比較③

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油(WTI先物)反落。主要株価指数の反落などで。52.73ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドルインデックスの反落などで。1,499.15ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。20年01月限は11,530元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。19年11月限は463.7元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで598.15ドル(前日比0.05ドル縮小)、円建てで2,064円(前日比14円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(10月15日 18時0分頃 先限)
 5,194円/g 白金 3,130円/g 原油 37,100円/kl
ゴム 162.9円/kg とうもろこし 24,530円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)
東京原油 1時間足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「サウジの9月の原油生産量を比較③」

前回は「サウジの9月の原油生産量を比較②」として、OPEC(石油輸出国機構)が公表したサウジの9月の原油生産量のデータをもとに、先月起きたサウジドローン事件の、同国の原油生産量・原油在庫への影響を推定しました。

今回は「サウジの9月の原油生産量を比較③」として、前回のデータに先週金曜日にIEA(国際エネルギー機関)が公表したデータを追記して比較します。

IEAのデータが公表されたことで、海外通信社2社、EIA、OPEC、IEA、合計5つの機関のデータを比較できるようになりました。

以下の資料のように、サウジの9月の原油生産量の5つの機関の平均は、前月比11.4%減となる日量869万5000バレルでした。

事件の影響で、一時は生産量が半減と言われましたが、実際のところ、5機関の平均で見ても、9月は10%前後の減少にとどまったとみられます。

一方、原油在庫については影響は小さくなかったと言えます。

JODI(共同機構データイニシアティブ)のサウジの原油在庫データ(7月時点でおよそ1億8000万バレル)をもとに推定すると、9月は5機関平均で24%の減少(7月比)となった可能性があります。

8月の原油生産量の総量(日量980万9000×31日間)から9月の総量(日量869万5000バレル×30日間)を差し引くと、4323万バレルという値がでます。

この生産量(総量)の減少分を原油在庫の取り崩しで対応したとすると、1億8000万バレルあった原油在庫が1億3700万バレル程度まで減少(およそ24%減少)する計算になります。

JODIのデータや筆者の推測が正しければ、今回のドローン事件は、サウジの原油在庫に大きなダメージを与えたことになります。

あと数回、同じような事件が起きれば、サウジの原油在庫が一時的にせよ、枯渇する可能性もゼロとは言えないと筆者は考えています。

図:サウジの原油生産量と原油在庫の比較(筆者推定)
サウジの原油生産量と原油在庫の比較(筆者推定)

出所:主要海外通信社、EIA、OPEC、IEAのデータをもとに筆者推定

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。