週刊石油展望

著者:児玉 圭太
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 先週末のWTI原油は前週比2.60ドル高の86.39ドル、ブレント原油は2.52ドル高の89.56ドルとなった。

 前週末の海外原油はサウジとロシアが10月にかけても自主減産と輸出削減を実施するとの思惑から堅調な推移となった。また、8月米雇用統計で失業率の悪化と賃金の伸び鈍化が示されたことで、追加利上げへの警戒感が和らいだことも支援要因となった。

 先週はサウジとロシアが自主減産の継続を表明し、需給の引き締まりが意識されたことが支えとなり急伸する展開となった。週明けは米国が休場で薄商いとなる中だったが、利上げ観測が後退していることなどが支えとなり堅調な推移となった。翌5日は市場参加者が10月だけの延長を想定する中、サウジとロシアが供給制限を12月までの3か月延長すると発表したことがサプライズとなり、買いが優勢となった。翌6日も自主減産の期間が年末まで延長されたことが支えとなったほか、米原油在庫の取り崩しが進み、年初来の低水準を更新する見通しとなったことが支えとなり堅調な推移となった。週末にかけてはこれまでの上昇ペースの早さから戻り売りに押されたほか、中国の貿易統計が軟調な内容だったことやドル高進行したことが重しとなり軟調な推移となった。

原油チャート

 今週の原油相場は戻り一服後に再度高値を目指す展開が想定されそうか。直近の上昇ペースの早さから週末にかけては戻り売り優勢となったものの、10月のみと見ていたサウジとロシアの自主減産・輸出削減が年末まで延長されたことは市場にインパクトを与えた。また、米原油在庫が年初来からの最低水準を更新しているほか、冬場の需要期を控える中で留出油在庫も低水準となっていることが支えとなりそうだ。一方で中国の景気先行き不透明感や米利上げ継続への警戒感からドル高進行していることは重しとなりそうであり、中国や米国の経済指標の発表には注視したいところだ。

 

 

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このコラムの著者

児玉 圭太(コダマ ケイタ )

国際法人部主任として国内商社や地場SS等を担当。
需給動向や石油現物価格などをもとに相場分析を行います。静岡出身。