週刊石油展望

著者:児玉 圭太
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 先週末のWTI原油は前週比3.55ドル高の76.55ドル、ブレント原油は3.97ドル高の81.49ドルとなった。

 前週末の海外原油は急反発。ドルインデックスが2ヵ月半振りの安値まで下落したほか、米金融大手ゴールドマンサックスがリポートで、OPECプラスが2024年にはブレント原油が80~100ドルのレンジに戻すような方策を取るとの見方を示したことから大きく買われる展開となった。

 先週はOPECプラスの追加減産の可能性が支えとなったものの、米国の休暇シーズン入りから小動きな展開となった。週明け20日は続伸。来年の世界の景気悪化見通しやパレスチナ情勢を背景に、OPECプラスが追加減産をする可能性が浮上したことが相場を押し上げた。また、FRBの利上げサイクルがすでに終了したとの見方からドル安に振れたことも支援要因となった。21日は横ばい。23日の米感謝祭を前に休暇入りしている市場参加者が多いほか、OPECプラスが追加減産を検討すると伝わっているものの、続報が見当たらないことから方向感に欠ける展開となった。23日は反落。OPECプラス会合が26日から30日に延期されたことで売りが優勢となった。アフリカ諸国など一部加盟国の産油水準と、それに伴う減産の可能性を巡り意見の相違が生じたことが理由とのこと。一方で減産期待は残っていることから売り一巡後は買戻しが入る格好となった。

原油チャート

 今週の原油相場は上値重い展開となるか。先週初めにOPECプラスの追加減産の可能性から反発したものの、アフリカ諸国が生産割当に難色を示している模様であり、大規模な追加減産の合意は難しいとの見方が強まっている。サウジは自主減産を来年1-3月まで延長する方向で調整を進めているものの、アフリカ産油国の一部は増産を希望しているようであり、ある程度の規模でも減産合意となればWTIで80ドル台回復も想定されるが、さらに高値を追う展開とはならないだろう。また、IEA幹部がOPECプラスが現行の減産方針を来年以降に維持しても、2024年の世界の石油市場は供給過剰になるとの見通しを示していることや、減産の実効性について懐疑的な見方が強まっていることも重しとなりそうだが、まずはOPECプラス会合の結果を待ちたい。

 

 

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このコラムの著者

児玉 圭太(コダマ ケイタ )

国際法人部主任として国内商社や地場SS等を担当。
需給動向や石油現物価格などをもとに相場分析を行います。静岡出身。