[Vol.1634] 長期視点の低迷が継続した23年

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油 クリスマスのため休場。

金 クリスマスのため休場。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。24年05月限は13,905元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。24年02月限は553.7元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建て(クリスマスのため休場)、円建て5,011円(前日比11円縮小)。価格の関係は金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(12月25日 17時13分時点 6番限)
9,383円/g
白金 4,372円/g
ゴム 247.5円/kg
とうもろこし -円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 22年8月5日午前10時35分時点)

●NYプラチナ先物(期近) 月足  単位:ドル/トロイオンス
NYプラチナ先物(期近) 月足  単位:ドル/トロイオンス

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「長期視点の低迷が継続した23年」
前回は、「24年も史上最高値更新が起きると予想(2)」として、2024年のドル建て金(ゴールド)価格見通し(筆者イメージ)について述べました。

今回は、「長期視点の低迷が継続した23年」として、2023年のドル建て・円建てプラチナ価格の推移について述べます。

今回より数回にわけて、2024年のプラチナ相場の方向性を展望した上で、長期投資を前提とした積立投資にプラチナがなじむ理由について書きます。

まずは2023年を振り返ります。以下のとおり、世界のプラチナ価格の指標であるドル建て価格は下落しました(12月22日時点)。産業用の需要が比較的多いプラチナは、景気後退懸念が生じると価格が下落する場合があります。

2023年の終盤は2024に米国のインフレが弱まる観測や、それを受けてFRB(連邦準備制度理事会)が金利を引き下げることを示唆したことを機に、米国の景気回復期待が浮上して反発しました。円建てプラチナは、ドル円が円安方向に大きく推移して上昇圧力がかかったため、ドル建てほど下落しませんでした。

長期視点の価格推移では2023年は単年で下落となったものの、リーマンショック直後(2008年9月)や、フォルクスワーゲン問題発覚(2015年9月)後の安値水準を下回りませんでした。米中などの景気減速懸念により下落圧力がかかっても、プラチナ価格はこうした安値水準を割れなかったのです。むしろ、安値水準まで下落したことが、割安感を生んで価格反発を誘った可能性もあります。

図:2023年のドル建て・円建てプラチナ価格の推移
図:2023年のドル建て・円建てプラチナ価格の推移

出所:LBMAおよびマーケットスピードⅡのデータをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。