[Vol.1635] 2024年は短期視点の反発を予想

著者:吉田 哲
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原油反落。ドル指数の反発などで。73.23ドル/バレル近辺で推移。

金反発。米10年債利回りの反落などで。2,072.80ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。24年05月限は13,840元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。24年02月限は558.9元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1084.25ドル(前日比8.85ドル拡大)、円建てで5,060円(前日比7円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(12月26日 17時45分時点 6番限)
9,445円/g
白金 4,385円/g
ゴム 249.0円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 22年8月5日午前10時35分時点)

●NYプラチナ先物(期近) 月足  単位:ドル/トロイオンス
NYプラチナ先物(期近) 月足  単位:ドル/トロイオンス

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「2024年は短期視点の反発を予想」
前回は、「長期視点の低迷が継続した23年」として、2023年のドル建て・円建てプラチナ価格の推移について述べました。

今回は、「2024年は短期視点の反発を予想」として、FRB利下げ実施時のプラチナ市場を取り巻く環境について述べます。

2024年を展望する上で大きなヒントになるのが、2023年の終盤に起きた反発のきっかけとなった、FRBの利下げ観測です。利下げは以下のような経路でプラチナ相場に上昇圧力をかける可能性があります。

米国で利下げが実施されれば、個人や企業が資金調達をしやすくなります。このことは景気回復期待を増幅し、株式市場に上昇圧力をかける要因になり得ます。産業用の需要が多いプラチナに対しては、価格(ドル建て)を上昇させる圧力になり得ます。

また、利下げは同時にドルを保有する妙味を低下させ、相対的に金(ゴールド)を保有する妙味を高める要因になり得ます。金(ゴールド)と同じ貴金属のグループに属するプラチナに対しては、価格(ドル建て)を上昇させる圧力になり得ます。このように利下げは、二つの文脈でプラチナ相場に上昇圧力をかける可能性があります。

前回述べたとおり、足元のプラチナ相場は長期視点の安値水準付近で推移しており、割安感が高まっていると考えられます。このため2024年は、長期視点の割安感がある中で、米国の金融政策の方向性によっては二つの文脈で上昇圧力がかかる可能性があります。

以上より、筆者はいまのところ、2024年のプラチナ相場は700ドル(長期視点の安値水準の下限付近)から1,200ドル(2021年春の高値)の間で推移すると考えています。

下値はFRBの利下げ実施(観測含む)起因の景気回復期待と長期視点の割安感によって支えられ、上値は中国の景気後退懸念とフォルクスワーゲン問題の呪縛(じゅばく)によって抑えられるイメージです。急落はないが急騰もない、これが2024年のイメージです。

図:FRB利下げ実施時のプラチナ市場を取り巻く環境
図:FRB利下げ実施時のプラチナ市場を取り巻く環境

出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。