[Vol.1652] 「原油相場は上がってしまう?」の心理

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。74.81ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。2,033.00ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。24年05月限は13,630元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。24年03月限は569.6元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1115.9ドル(前日比4.40ドル縮小)、円建てで5,307円(前日比10円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(1月24日 18時27分時点 6番限)
9,640円/g
白金 4,333円/g
ゴム 280.2円/kg
とうもろこし 37,240円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 22年8月5日午前10時35分時点)

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル
NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「『原油相場は上がってしまう?』の心理」
前回は、「『10秒待つ』がニセ情報拡散を止める」として、「疑うこと」の効果について述べました。

今回は、「『原油相場は上がってしまう?』の心理」として、株式市場と原油市場のちがいについて述べます。

市場分析において、批判的思考に裏付けられた中立的な考え方が必要な例を挙げます。原油市場の分析です。市場関係者と原油市場の動向について話をしていると、しばしば「そうすると、原油相場は上がってしまうのですか?」と返答をいただくことがあります。

頻度は、多くはありませんが、少なくもありません。こうした発言には、原油相場が上昇することを回避したい、という「思惑」が含まれていると感じます。「上がってしまう」という言葉に、中立性を欠いている印象を受けます。

以下の図の通り、原油市場は株式市場と異なり、上昇も下落も中立です。中立な市場において、「上がってしまう」と考えることは、自らが消費国側の立場のみで分析していることを露呈することになります。

原油市場は、産油国と消費国の両方の思惑を織り込んで分析する必要があります。「中立であること」が強く求められる分野なのです。この意味で、原油市場の分析には、先述の批判的思考が欠かせないことが分かります。

図:株式市場と原油市場のちがい
図:株式市場と原油市場のちがい
出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。