OPECで減産を実施する11カ国の生産量もV字回復

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油(WTI先物)反落。主要株価指数の反発などで。57.00ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドルインデックスの反落などで。1,487.25ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。20年01月限は12,110元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。19年12月限は458.2元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで559.45ドル(前日比8.45ドル拡大)、円建てで1,954円(前日比13円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(11月6日 14時32分頃 先限)
 5,197円/g 白金 3,243円/g 原油 38,800円/kl
ゴム 178.8円/kg とうもろこし 23,560円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)
東京原油 1時間足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「OPECで減産を実施する11カ国の生産量もV字回復」

前回は「今、OPECプラスは何カ国?」として、昨日(2019年11月5日)時点の、OPECプラスに参加している国の全体像について書きました。

今回は「OPECで減産を実施する11カ国の生産量もV字回復」として、OPECプラスに参加している国の中で、OPEC加盟国で、かつ減産を実施している11カ国の原油生産量について書きます。

OPEC加盟国内で減産に参加している11カ国は、サウジを筆頭にイラクやUAE、クウェートなどです。

IEAの月次レポートによれば、この11カ国の2019年9月の原油生産シェアは、世界全体の28.1%、OPECプラス全体(24カ国)の52.7%、減産に参加している21カ国(OPECの11カ国+非OPEC10カ国)の57.5%、OPEC14カ国の86.3%です。

この11カ国は減産を実施している国であるため、減産順守率に直接的に影響があります。

OPECプラスの半分以上の生産を行うなど、生産量が多いため、減産順守率を左右し得る影響力が大きい国々と言えます。

前々回「生産量を回復させ過ぎているサウジの意図」で、ドローン事件後、サウジの原油生産量がV字回復したと書きましたが、そのサウジを含んだ11カ国の10月の原油生産量は日量2570万バレルでした。

サウジの原油生産量が多いため、この11カ国合計でも9月に大幅減少、そして10月にV字回復しています。

非OPEC側10カ国の原油生産量の具合もあるものの、おそらく9月は、ルールを刷新して2019年1月にスタートした減産において、OPECプラス全体の減産順守率が最も高い月となった可能性があります。

来年3月の現行の減産終了を前に、過去の事例にならい、減産開始あるいは減産のルール変更が行われる前に行った“駆け込み増産”が開始されるか、今後も注目したいと思います。

図:OPEC加盟国で減産を実施する11カ国の原油生産量
単位:百万バレル/日量


出所:海外主要メディアのデータをもとに筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。