[Vol.1703] 上下圧力の板挟み状態の中で原油高

著者:吉田 哲
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原油反落。米主要株価指数の反落などで。86.61ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。2,365.45ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。24年09月限は15,125元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。24年05月限は667.3元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1377.3ドル(前日比3.20ドル拡大)、円建てで6,708円(前日比169円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(4月9日 大引け時点 6番限)
11,458円/g
白金 4,750円/g
ゴム 333.0円/kg
とうもろこし 40,250円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 22年8月5日午前10時35分時点)

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル
NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル

出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「上下圧力の板挟み状態の中で原油高」
前回は、「『怖くない原油高』との違いとは?」として、西側先進国における怖い原油高と怖くない原油高について述べました。

今回は、「上下圧力の板挟み状態の中で原油高」として、NY原油先物(日足 終値)の推移について述べます。

以下の通り、2021秋年以降、原油相場はおおむね70ドルから95ドルの範囲(レンジ)で動いています。およそ5カ月半ぶりの高値だと報じられている足元の80ドル台後半も、この中にあります。この水準は、2020年のコロナショック発生時の5倍以上、かつコロナショック直前よりも高いことから、足元の原油相場は長期視点の高止まり状態にあると言えます。

ウクライナ危機が勃発して世界的に需給ひっ迫感が強まった2022年2月からおよそ半年間を除けば、このレンジにおおむね収まっています。長期視点のレンジ相場であることは、下落圧力と上昇圧力が長期視点である程度釣り合っていることを意味します。

下落圧力をもたらす材料は時期によって異なります。例えば、ウクライナ危機勃発からおよそ半年が経過し、下落が始まった時に強く意識された材料は、米国の利上げと中国の景気後退懸念でした。

米国では三倍速と揶揄(やゆ)された急速な利上げが続いて景気減速懸念が強まり、中国では大規模な不動産会社で財務上の問題が噴出して景気後退懸念が強まりました。足元の下落圧力をもたらす材料は、まさに「怖い原油高」起因の米国や中国の景気後退懸念です。

一方で、2021年秋以降、上昇圧力の大勢に大きな変化は見られません。「主要産油国からの供給減少懸念」と「需要増加観測」です。詳細を次回以降、書きます。

図:NY原油先物(日足 終値) 単位:ドル/バレル
図:NY原油先物(日足 終値) 単位:ドル/バレル

出所:Investing.comのデータより筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。