週刊石油展望

著者:児玉 圭太
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 先週末のWTI原油は前週比0.7ドル高の79.91ドル、ブレント原油は0.6ドル高の84.49ドルとなった。

 前週末の海外原油は弱気な米経済指標やガザ停戦協議の進展期待から反落。4月の米雇用統計では非農業部門就業者数が前月比17.5万人増と減速、ISM発表の4月サービス業購買担当者景況指数も49.4と2022年12月以来の50割れとなり景気後退懸念から原油売りが活発化した。

 先週も米景気後退懸念とイスラエルのラファへの地上侵攻の懸念が綱引きをする展開となった。週明け6日はガザ休戦巡る交渉難航で小反発。イスラエルが週内にもラファに地上侵攻する準備を進めていることから買いが先行した。また、サウジアラムコが6月のアジア向けアラブ・ライト原油OSPを0.9ドル引き上げたことも強材料視された。翌7日は小幅反落。ロシアのノバク副首相がOPECプラスが原油の増産を検討している発言したことから売り先行となったが、イスラエルがラファへの地上侵攻を開始したことを受けて安値からは切り返す展開となった。8日はイスラエルによるハマス掃討開始を警戒した買いやEIA統計での米原油在庫の増加傾向が一服したことを受け反発となった。9日は中国の需要増期待から続伸。中国税関総署が公表した4月の原油輸入は前年比5.4%増の4472万トンとなり同国の需要拡大期待から買い先行となった。また、米新規失業保険申請件数が2週連続で悪化し労働需給が軟化したことから、米国の年内利下げ開始期待が高まったことも支援要因となった。

NY原油チャートオアシス

 今週の原油相場は米国CPI発表まで横ばいの推移となるだろう。米国CPIの結果次第になるため強いインフレ傾向が示されれば円安と原油安になり81ドル下限に下がりそうだ。但し、インフレ傾向に歯止めがかかればドル安で87ドル程度までの上昇がみこまれよう。判断材料はここしばらくおなじみのイスラエル情勢、アメリカ経済、雇用指標になるだろう。円相場も上記のCPI次第の展開が予想され、それまでは日銀の強い警戒下、横ばいの155円台の値動きとなるだろう。

 

 

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このコラムの著者

児玉 圭太(コダマ ケイタ )

国際法人部主任として国内商社や地場SS等を担当。
需給動向や石油現物価格などをもとに相場分析を行います。静岡出身。