週刊石油展望

著者:児玉 圭太
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 先週末のWTI原油は前週比0.96ドル高の77.88ドル、ブレント原油は0.51ドル高の81.95ドルとなった。

 前週末の海外原油は、前日まで4営業日続落していた押し目買いの動きから反発すると、米ミシガン大消費者物価指数において期待インフレ値が低下し、ドル安進行したことも支えとなった。

 先週はOPECプラスへの期待感やドライブシーズン入りする中でガソリン需要の増加期待が高まったことは支えとなった一方、週末にかけては利下げ期待の後退や製品在庫の増加が示されたことが重しとなった。週明けは米国市場が休場だったが、週末のOPECプラス会合において日量220万Bの自主減産の延長が見込まれているほか、米国のドライブシーズンによる需要増加期待が支えとなり堅調な推移となった。翌28日は前日に引き続きOPECプラス会合による自主減産が継続するとの思惑が支えとなったほか、イスラエル軍がガザ地区ラファの中心部に到達し、砲撃で少なくとも21人が死亡したと伝わったことから地政学リスクが高まり堅調な推移となった。翌29日はFRB高官がインフレが続くようであれば利上げの可能性もあると発言するなど、タカ派姿勢が示されたことからドル高進行したことが重しとなった。週末にかけても高金利水準が長期化し、米景気の悪化懸念が強まっていることが重しとなったほか、EIA統計においてガソリンや留出油在庫が予想に反して積み増しとなったことが嫌気され軟調な推移となった。

NY原油チャート
出所:みんかぶ先物WTI原油先物複合チャート

 今週の原油相場は週末のOPECプラス会合次第の展開になるため予想困難だが、上手く合意した場合は先物市場の投機玉のロング玉は非常に薄くなっているため、85ドルを超える水準までの上昇が見込まれそうか。但し、合意できなかった場合は失望感から70ドル前半まで下落する展開が想定される。為替は米国の第一四半期GDPが下降修正されたことからややドル安の方向に向きそうか。

 

 

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このコラムの著者

児玉 圭太(コダマ ケイタ )

国際法人部主任として国内商社や地場SS等を担当。
需給動向や石油現物価格などをもとに相場分析を行います。静岡出身。