週刊石油展望

著者:児玉 圭太
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 先週末のWTI原油は前週比4.05ドル高の82.17ドル、ブレント原油は3.35ドル高の85.70ドルとなった。

 前週末の海外原油は小幅反落。米6月ミシガン大消費者景況感指数が7カ月ぶりの低水準になったことが嫌気されたことに加え、直近の上昇に対する利食い売りの動きも上値を抑える展開となった。

 先週は米ドライブシーズンでの需要増加が期待されるなか、中東情勢やウクライナ情勢などの地政学リスクが相場を大きく押し上げた。週明け17日は反発。ドライブシーズンによる需要拡大見通しや、米株価の上昇、ドル安が支援要因となった。また、イスラエルのネタニヤフ首相が戦時内閣の解散を告げ、極右政党の台頭からイスラム組織ハマスに対する姿勢が強硬になる可能性も意識された。18日は続伸。ウクライナのドローン攻撃により、ロシアの石油ターミナル燃料貯蔵タンクで火災が発生したとの報をきっかけに上昇する展開となった。また、中東地域でのイスラム教シーア派組織ヒズボラとイスラエルの交戦が強まっていることも支えとなった。19日は奴隷解放記念日により米国市場は休場。前日にAPI統計で原油在庫の増加が示されたことで上値重い推移となった。20日も続伸。EIA統計で原油在庫が予想を上回る減少となったほか、製品在庫に関しては予想に反して取り崩しとなったことが相場を押し上げた。また、米住宅着工件数が予想を下回るなど米経済指標の悪化から早期に利下げに踏み切るとの見方が強まったことも支援要因となった。

原油チャート
出所:みんかぶ先物WTI原油先物複合チャート

 今週の原油相場はイスラエルとヒズボラの争いで中東全域での緊迫感/警官感が強まっており、原油市場は下値追いの展開は想定しにくい。また、米国のガソリン需要は4週移動平均で今年最高となり、米中西部で高温が続いており、さらに今後も続きそうなこともあり、こちらも相場を下支えしそうだ。テクニカル面で見ても、82ドル台半ばまでは見込まれる。急激は上昇を背景に、戻りを売られる場面があってもおかしくはないが、材料的にも下値は堅く、強含みでも推移が想定される。

 

 

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このコラムの著者

児玉 圭太(コダマ ケイタ )

国際法人部主任として国内商社や地場SS等を担当。
需給動向や石油現物価格などをもとに相場分析を行います。静岡出身。