[Vol.1762] 盗難撲滅は横断的な対応で実現できる

著者:吉田 哲
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原油反落。米主要株価指数の反落などで。83.39ドル/バレル近辺で推移。

金反落。米10年債利回りの反発などで。2,367.10ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。24年09月限は14,910元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。24年08月限は633.3元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1341.05ドル(前日比14.95ドル縮小)、円建てで7,009円(前日比26円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(7月4日 19時10分時点 6番限)
12,243円/g
白金 5,234円/g
ゴム 327.5円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 22年8月5日午前10時35分時点)

●NY銅先物(期近) 日足  単位:ドル/ポンド
NY銅先物(期近) 日足  単位:ドル/ポンド
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「盗難撲滅は横断的な対応で実現できる」
前回は、「盗難を取り締まることが難しい背景」として、条例で盗難品の流入を規制する動きについて述べました。

今回は、「盗難撲滅は横断的な対応で実現できる」として、溶解・保管の段階でできる認証制度(筆者イメージ)について述べます。

金属盗難の問題は単なる盗難なのではなく、買い取る業者、その金属を溶解する業者、それを運ぶ業者、そしてそれを保管する業者、さらにはそれを使用する業者がいて成り立っているといえます。点と点を結んでできた線を一網打尽にしなければ、盗難を撲滅することができないでしょう。「横断的な取り組み」が欠かせません。

買い取り業者に認証制度を設けることは、関連する条例がある自治体で実施されています(検討中の自治体もあり)。こうした認証制度を、溶解する業者、運送する業者、保管する業者、使用する業者、輸出する業者など、金属流通に関わる業者全てに導入することにより、盗難品の流入や流通を減少させることができると考えます。その結果、それが抑止力となり、盗難を減らす効果も期待できます。

足元、金属の盗難や盗難品の流入・流通を法律で規制することを望む声が各所で上がりつつありますが、これらはまとまる必要があると筆者は考えています。流通に関わる複数の業界が横断的に手を組み、声を大きくしていくことで法制化の機運を大きくしていくことができると考えます。

溶解と保管に関わる認証制度について、筆者は以下のようにイメージしています。LBMA(ロンドン貴金属市場協会)が行っている溶解業者の認証制度、LME(ロンドン金属取引所)が行っている倉庫業者の認証制度をまねます。

認証された溶解業者は、疑わしくない品のみを溶解し、一定の品質の流通しやすい半製品を作り、それに刻印を施します。認証された倉庫業者は、認証された溶解業者から納入された金属のみを保管します。そして、その倉庫業者が発行する、金属の種類や数量、保管場所が明記された証書である「倉荷証券」を売買できる先物市場を創設します。

図:溶解・保管の段階でできる認証制度(筆者イメージ)
図:溶解・保管の段階でできる認証制度(筆者イメージ)
出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。