ブルキナファソの金

著者:近藤 雅世
 ブルキナファソと言われて地図で場所を言い当てる人はどれだけいるだろうか。

 かく言う筆者も今日までその場所を知らなかった。地図で見ると、西アフリカに位置する共和制国家で、北にマリ、東にニジェール、南東にベナン、トーゴ、南にガーナ、南西にコートジボワールと国境を接する内陸国で、首都はワガドゥグーだという。ここで金が採掘されているようだ。

 ブルキナファソは2018年に前年から2つ順位を上げて、世界第18位の金生産国となり、55トンの金を生産した。また、過去10年間で金生産が+23.1%増加したアフリカで5番目に大きな金生産国だという。10年前には、一つも金鉱山が無かったことを思えば、隔世の感がある。

 昨年の金生産の増加は、エンデバー鉱業が所有するハウンデ鉱山の生産増によるもので、同鉱山の生産量は2017年の2.1トンから昨年は8.6トンに跳ね上がっている。ブルキナファソは金生産を急増させており、近い将来、マリを上回り、アフリカで4番目に大きな金生産国になるかもしれない。

 ただ、物事はそれほど簡単ではない。同国では2018年12月以来テロが頻発しており、2ヶ月間で8件のテロ攻撃があり30人以上が死亡した。ブルキナファソ政府はいくつかの北部州で非常事態を宣言し、最終的にはポール・ティーバ首相は辞任した。

 歴史を振り返ると1983年サンカラ政権が独裁政治を行ったが、87年にクーデターが起きて暗殺され、92年にコンパレオが大統領選挙で当選し27年にわたって政権を掌握した。しかし2014年反政府運動が盛んになり、2015年にクーデター、その後は名前を覚えられないほど政権が代わっている。武力紛争による死亡者数は、2019年前半に同国の北部と東部で1,064人に達したという。

 つまり、政治的な不安定さが現在のブルキナファソの弱点だと言える。ただ、テロ活動側も金鉱山が国家にとって大切な資産だと認識しており、金鉱山に対する攻撃は行われていないという。多くの鉱山経営者は危険を察知し鉱山を売却しておりオーナーは変わっているが、最近では中国企業が同国の金鉱山オーナーになり始めているという。

このコラムの著者

近藤 雅世(コンドウ マサヨ)

1972年早稲田大学政経学部卒。三菱商事入社。アルミ9年、航空機材6年、香港駐在6年、鉛錫亜鉛・貴金属。プラチナでは世界のトップディーラー。商品ファンドを日本で初めて作った一人。2005年末株式会社フィスコ コモディティーを立ち上げ代表取締役に就任。2010年6月株式会社コモディティー インテリジェンスを設立。代表取締役社長就任。 URL:http://commi.cc/ eメール:kondo@commi.cc