週刊石油展望

著者:児玉 圭太
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 先週末のWTI原油は前週比2.53ドル安の79.78ドル、ブレント原油は2.08ドル安の82.59ドルとなった。

 前週末の海外原油は大幅続落。イスラエルとイスラム組織ハマスの停戦協議が合意に近づいていることから、地政学リスクの後退が相場を押し下げる展開なった。また、世界的なシステム障害によりリスク回避のドル買いが進行したことも重しとなったようである。

 先週はガザでの停戦協議の妥結期待やリスク回避のドル高から売り優勢の展開となった。週明け22日は小幅続落。米バイデン大統領が11月の大統領選からの撤退を表明したことで、リスク回避の動きが強まったことが圧迫要因となった。一方で9月にもFRBが利下げに動くとの観測は相場を下支えした。23日は続落。イスラエルのネタニヤフ首相が人質解放に関する合意が近いと述べたほか、同首相が訪米してバイデン大統領やハリス副大統領と会談するとの報から、停戦期待の高まりが相場を押し下げた。24日は反発。EIA統計で原油、製品在庫の大幅な取り崩しが支えとなったほか、前日までの下落から安値拾いの買いも入る展開となった。25日は続伸。米4-6月期実質GDPが市場予想を上回ったことから、エネルギー需要への期待が相場を押し上げる展開となった。一方で、引き続き中国の景気減速に伴う需要減少懸念やガザの停戦合意期待は上値を抑える要因となった模様。

NY原油チャート
出所:みんかぶ先物WTI原油先物複合チャート

 今週の原油相場は上値重い推移となるか。EIA統計での原油在庫の減少から需給引き締まりは意識されているものの、戻りは売られる格好となっている。またイスラエルとイスラム組織ハマスの停戦協議について、妥結期待から地政学リスクが後退しているほか、中国などの景気減速懸念も警戒されていることが引き続き上値を抑える要因となるだろう。米4-6GDPの結果から楽観的な見方も広がったが、停戦合意となるとさらに下値を試す展開も想定され、WTIで75ドルを維持できるかが焦点となるか。

 

 

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このコラムの著者

児玉 圭太(コダマ ケイタ )

国際法人部主任として国内商社や地場SS等を担当。
需給動向や石油現物価格などをもとに相場分析を行います。静岡出身。