週刊石油展望

著者:児玉 圭太
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 先週末のWTI原油は前週比0.64ドル安の76.23ドル、ブレント原油は0.95ドル安の79.13ドルとなった。

 前週末の海外原油は、中東情勢に新たな動きが無い中、7月米雇用統計が市場予想を下回る低調な内容となったことから、
 景気減速懸念が強まり、週の安値を下抜ける動きとなった。

 先週は、先週の弱気な経済指標の発表を受け、景気縮小を意識した換金売りが膨らみ年初来の水準まで下落して始まった。しかし、リスク回避の動きが落着きを見せると、報復を宣言したイランへの警戒感もあり値を戻す展開。週明5日は、週末の流れを受けアジア時間から株安、円高、商品安が進行。日経平均株価が一日としては、過去最大の下落幅(-4451円)を記録するなど、リスク回避の動きが顕著となった。一方、イラン、ハマス、ヒズボラが幹部殺害の報復を予告しており、中東情勢への警戒感が支えとなり下げ幅は縮小された。6日は、一転、日経平均株価は過去最大の上昇幅(+3217円)で前日の下げを取戻すなどリスクオフムードが和らぐと、不安定な中東情勢に加え、リビアの政治的な対立によるシャララ油の生産停止など供給減少が意識され小幅ながら4営業日ぶりの反発。7日も買戻しが先行。EIA統計で原油在庫が6週連続で減少となったことが支援要因となり続伸となった。8日も堅調。米失業保険申請件数が事前予想を下回り、市場は景気後退に対する懸念が行き過ぎだったことを確認する結果となった。


出所:みんかぶ先物WTI原油先物複合チャート

 リスクオフの動きが一巡、株価も持ち直している。イランが軍事演習を理由に、エジプト当局に航空会社へ時間を指定して自国の領空へ侵入しないよう通知するなど、報復措置に対する警戒感が引続きサポート要因となるだろう。 一方で、中国の7月原油輸入は2年ぶりの低水準となるなど、需要減少懸念は解消に至っておらず、方向感を探る展開が予想される。

 

 

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このコラムの著者

児玉 圭太(コダマ ケイタ )

国際法人部主任として国内商社や地場SS等を担当。
需給動向や石油現物価格などをもとに相場分析を行います。静岡出身。