週刊石油展望

著者:児玉 圭太
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 先週末のWTI原油は前週比6.70ドル安の69.49ドル、ブレント原油は7.24ドル安の73.04ドルとなった。

 前週末の海外原油は反落。OPECプラスが決定済みの10月以降の増産計画を実行する見通しであることが圧迫要因となったほか、中国経済の弱含みも意識される格好となった。

 先週はリビアの供給不安の後退や米中の景気悪化懸念から軟調な推移となった。週明け2日はNY市場が休場。リビアの国営石油会社がエルフィール油田について不可抗力条項を宣言したことで供給不安の高まりからブレント原油は上昇となった。3日は大幅続落。供給懸念の続いているリビアで、国連リビア支援ミッション主導の協議により新たな中銀総裁を30日以内に選出することで合意し、供給懸念が沈静化したことが相場を押し下げた。また、中国の需要懸念、米ドライブシーズンが終了のほか、株安からリスクオフムードとなったことも重しとなった。4日は続落。米中の景気先行き懸念が意識されるなか、リビアの供給停滞懸念が後退したことが圧迫要因となった。5日は横ばい。OPECプラスが自主減産の縮小を12月まで先送りで合意したことから買いが先行したが、米8月ADP雇用統計が悪い内容となったことで上げ幅を削る展開となった。

NY原油チャートみんかぶ
出所:みんかぶ先物WTI原油先物複合チャート

 週末の米国雇用統計では数字が想定より悪化し、原油の需要減退懸念から値を下げている。OPECの減産延長ニュースにもかかわらず投機筋が売り込んでいたため、買い戻し期待もあり、株価を眺めつつ買い場を探りたい。但し、製品クラックは需要の落ち込みから年初来安値近辺で推移している。精製需要の落ち込みから高値は追いづらいところか。

 

 

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このコラムの著者

児玉 圭太(コダマ ケイタ )

国際法人部主任として国内商社や地場SS等を担当。
需給動向や石油現物価格などをもとに相場分析を行います。静岡出身。